CCS特集:菱化システム

米バイオシム製品、コンソーシアム拡大へ

 1992.05.17−菱化システムは、米国バイオシム社の国内総代理店を務めている。バイオシムは研究コンソーシアムの設立と活動を通して商品ラインアップを急速に拡充。たん白質分子から有機ポリマー、無機/結晶/触媒、そして材料分野へと、計算理論の発展にいち早く追随したロジカルなステップを踏んで領域を広げてきた。

 7月から新しいコンソーシアムがスタートする。EOM(エレクトロ、オプティック、マグネティック)プロジェクトと呼ばれている。前回のポリマーコンソーシアムも多くの日本企業の関心を集めた(全メンバーの3分の1が日本)が、今回はそれ以上の反響が予想され、半分以上が日本企業になるかもしれないとしている。

 アカデミックコードのレベルでは、用途や対象を絞り込んだ形であちらこちらで研究が行われているが、統合されたパッケージシステムとしては存在していない。同社が先陣を切って取り組むことになる。

 とくに、電子的、光学的、磁気的特性を予測するため量子化学のアプローチを用いる。構造のシミュレーションには分子動力学法を採用するという。全体としては量子化学と固体物理学をミックスした形での計算を行う。つまり、1つのユニットセルをつくって、その構造を無限のくり返しとして扱っていく。こうしたやり方はもともと量子論的なアイデアであり、同社のab initioプログラムDMolでの経験が生かせるという。

 1994年までの2年間のプロジェクトであり、当初は比較的少数のチャーターメンバーでスタートする。プロジェクト全体の方向性や戦略がこの段階で決められることになる。

 菱化システムでは、こうしたバイオシムの拡大戦略に対応するため、営業/技術サポートの体制をあらためて固め直す考えだ。具体的には、バイオシム関連のビジネスをバイオ、ポリマー、材料の3つに分け、専門性を高めた事業展開を図る。各分野に特化した知識をもつスタッフを充実させていく。

 いたずらな人員の増強ではなく、とくに営業では企画・戦略面が重要だとしており、ユーザーの理解を求めることを第一に緻密な作戦を立てていく考えだ。