CCS特集:帝人システムテクノロジー

事業体制大幅強化、MSI代理店に加わる

 1992.05.17−帝人システムテクノロジー(TST)は、この4月に「サイエンスシステム事業部」を設立、CCS事業体制の大幅強化に乗り出した。これは、親会社である帝人のCCS戦略の一環。帝人グループのCCSビジネスにおける実働部隊として、その使命は重大だ。

 帝人は、今年の3月に米国モレキュラーシミュレーション社(MSI)と共同で合弁会社「帝人モレキュラーシミュレーション」(TMSI)を設け、MSI製品の総輸入窓口を一本化させた。しかし、営業面では従来からの代理店を重視し、自らは販売を行わないことにしている。

 このため、TSTが4月からTMSIの新しい代理店の1社として加わった。ポリマー向けCCSのPOLYGRAF、材料設計分野に役立つCERIUSを中心に扱っていく。同時に、これまで帝人のシステム事業推進室で販売を行っていた米国インテリジェネティックス社の遺伝子情報解析システムPC/GENEおよびGeneWorksについても、あらためてTSTに販売権が移行した。

 これにより、有機低分子を主体に無機分野までの広がりをもつ独自開発の分子設計支援システムMATERIAを含め、CCSの各方面に対応できる充実した製品ラインが整ってきた。

 ここで、新たに戦列に加わったシステムを概観すると、まずPOLYGRAFは分子動力学法をベースにしたポリマー用のシミュレーションソフトウエアで、この分野では国内最大の導入実績を誇っている。CERIUSは、無機・有機の結晶構造解析/設計支援システム。X線回折シミュレーションや電子顕微鏡画像シミュレーション、吸着シミュレーションなど多彩な機能を実現するモジュール型のソフトウエア群で構成されている。

 遺伝子分野では、PC/GENEとGeneWorksの2つ。前者はIBM-PC版、後者はマッキントッシュ版である。遺伝子の塩基配列の入力・編集や構造解析、2次構造予測、アミノ酸配列の解析、データベースからのホモロジー検索などの機能をもっている。欧米でのシェアが高いシステムだが、昨年秋ごろから日本でも引き合いが活発になってきた。とくに、マック版のGeneWorksの評価が高い。歴史のあるPC/GENEは解析機能の豊富さに特徴があるという。