MSIがCerius2開発環境を無償提供

ユーザープログラムの組み込み容易に

 1998.11.12−大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーの帝人モレキュラーシミュレーション(略称・TMSI、川崎信也社長)は、米モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)がこのほど統合分子設計支援システム「Cerius2」に採用されているソフトウエア開発環境を無償で公開したことを明らかにした。これまで「ソフトウエアデベロッパーズキット」(SDK)の名称で製品として提供されていたもので、国内では約300万円の価格がつけられていた。民間企業、大学関係を含めて広く世界中の開発者に無料で提供していく。多くの開発者を取り込むことで、Cerius2をCCSの標準プラットホームに仕立てようという狙いがある。

 Cerius2は50種類近いモジュールを組み合わせることによって、新薬開発から材料設計までCCSのほとんどすべての領域を網羅できるシステム。こうした計算や解析、シミュレーションなどのモジュールの開発に使われるのがSDKで、Cerius2の基本モジュール「Cerius2ビジュアライザー」に統合するためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)、各種ライブラリー、ツール群から構成されている。

 SDKを利用する開発者は、自分のプログラムをCerius2に簡単に統合することができ、ユーザーインターフェースやファイルの入出力、可視化機能などの基本的な機能の部分に開発の手間をかけなくてすむようになる。

 SDKを無償で入手できる条件は、CCS関連の開発者であることで、所属は民間・大学・政府機関を問わない。米MSIのウェブサイトからオンラインで申し込むが、その際に開発者の視点からプラットホームや開発環境などに関するアンケートに協力する必要がある。また、SDKを利用する際にCerius2ビジュアライザーが必要だが、所有していない人にはこれも無償で提供される。

 サポートは基本的に行われないが、専門サイトが開設されており、そこからすべてのチュートリアルやサンプルプログラムに自由にアクセスできる。それぞれに開発されたモジュールはこのサイトで公開され共有される予定で、開発者がその成果をもとに事業化を行いたい場合には別途MSIとの契約が必要になる。