菱化システムが米サイコと代理店契約

結晶表面反応など量子力学シミュレーション

 1998.12.03−菱化システムは、米国の新しいコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるサイコ社(本社・カリフォルニア州、ジョン・ハリス社長)と販売代理店契約を締結し、12月中旬から材料設計支援システム「MedeA」(商品名)を発売する。これはサイコ社が開発した最初の製品で、米国と同時期の市場投入となる。分子や結晶表面で起こる原子レベルの現象を量子力学的にシミュレーションすることができ、金属材料や半導体、触媒、ポリマーなどの開発に役立つ。ウィンドウズ98/NTに対応しており、標準構成のソフト価格は700万円(大学は半額)から。

 「MedeA」は、データベースと量子力学計算の手法を1つのプラットホーム上で統合したシステム。計算手法としては、密度汎関数法の「ElectrA」、第一原理分子動力学法の「OresteS」の2種類のプログラムを組み込んでおり、物質の電子状態を計算することで各種の物性予測や構造解析、表面反応のシミュレーションなどが行える。パソコン上で実行できるように高速で精度の高い手法を採用していることも特徴。

 また、グラフィック環境ですべての操作が行えるほか、ナビゲーション機能によって欲しい情報に合わせて自動的に計算条件が設定されるので初心者にも使いやすい。

 菱化システムは、米のCCS最大手であるMSI社のシステムも扱っているが、MSIが今回のような“計算物理”的なソフト群は継続的に開発しない方針に変わったため、以前の製品ラインを埋め合わせる意味も含めてサイコ社との契約を決めた。サイコ社自体、MSIでこの分野のプロジェクトを手がけていた人物が中心になって設立したベンダーだという。