FQSがMOPAC2000とHyperChemの連携ソフトを開発

全世界で販売へ

 1999.08.19−富士通九州システムエンジニアリング(略称・FQS、柴田善次郎社長)は、富士通の分子軌道法計算プログラム「MOPAC2000」を、加ハイパーキューブ社が開発した分子モデリングシステム「HyperChem」と統合するための連携ソフトを開発、9月から全世界で販売を開始する。とくに、高分子化合物やたん白質の電子状態を解析し、それをグラフィック表示することが初めて可能になった。連携ソフト自体は4万円(教育向け2万円)と低価格で、同社ではこの機会にHyperChemの販売権も取得し、セット販売も推進していく。

 MOPAC2000は、半経験的な分子軌道法計算を行うソフトの最新版で、今年の春に発売されたもの。1万原子という巨大分子の電子状態を計算することを初めて可能にした。MOPACの計算結果を可視化するためには、自社開発のWinMOPACなどのパソコンソフトがあるが、現在のところ巨大分子の表示は難しいのが実情。

 一方のHyperChemも、パソコンを主体にしたコンピューターケミストリーシステム(CCS)であるが、多種の計算理論をサポートしており、高分子のモデリングにも対応している。

 今回の連携ソフトにより、HyperChemでモデリングした分子に対してMOPAC2000の計算を実施させ、その結果をHyperChemで表示させることが可能になる。分子の最安定構造や、分子軌道図および電荷密度分布、赤外線スペクトルと振動周波数、熱力学的解析結果などをわかりやすいグラフィックで出力する。

 FQSは、CCS事業推進のための戦略子会社であるFQSポーランドを通じて今回のプロジェクトを成立させた。高分子の分子軌道計算をグラフィックを含めて実現するのは世界でも初めてで、FQSではMOPAC2000とHyperChem、さらに連携ソフトを組み合わせた新しい研究ツールを世界中に提供していく考え。3年間で国内5,000本、海外1万本の販売を計画している。