帝人システムテクノロジーが米受託ラボのアブソープションシステムズと提携

創薬研究のアウトソーシングに進出

 2000.02.25−帝人システムテクノロジー(TST)は、米国の受託試験機関であるアブソープションシステムズ(本社・ペンシルバニア州、パトリック・デンティンジャー社長)と総代理店契約を結んだ。とくに、化合物の溶解度やlogD(脂溶性)、膜透過係数、代謝特性など、新薬開発において有力な候補化合物の絞り込みに役立つデータを提供する。最近、製薬会社ではコンビナトリアルケミストリーやハイスループットスクリーニング(HTS)技術の普及により数多くの候補物質を扱うようになった結果、有力候補ををいかに短期間に絞り込むかが問題になってきている。今回は、その部分のアウトソーシングにフォーカスしたサービスを展開しようというもの。

 アブソープションシステムズは、大手受託機関のパンラボ社から独立した研究者が設立した企業で、ADME(吸収・分布・代謝・排出)関連のインビトロ(試験管内)試験のアウトソーシングを通じて、創薬研究のスピードアップをもたらすサービスを提供することを専門としている。

 とくに、胃腸などの人の消化管からの吸収しやすさをはかる基準となる膜透過試験“Caco2”の世界的権威であるイスマエル・ヒダルゴ博士を擁しており、Caco2用の細胞をあらかじめ豊富に用意しているので、同試験が非常に短期間に行える点で評価が高い。

 通常、細胞の培養だけで3週間程度かかるようだが、同社の場合は溶解度試験とlogD試験を含めても50検体を3週間以内でレポートできるという。将来的には、新薬開発のステージをさらに進めた安全性試験や動物実験の受託にも取り組んでいく。

 一方、TSTはADME関連の物性予測ソフトなどの販売で製薬会社とのチャンネルをすでに持っており、ソフトと合わせてさらに包括的なサービスが実現できるという観点から今回のビジネスに乗り出した。