OMGがソリューション事業部門を米ミレニアムに売却

ケンブリッジディスカバリーケミストリー社を3,500万ポンドで

 2000.08.02−欧州最大のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)は、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)技術などを利用して、製薬会社向けなどに受託研究サービスを提供している「ディスカバリーソリューション事業部門」を、米創薬ベンチャーのミレニアムファーマシューティカル社に売却した。具体的には、OMGの子会社であるケンブリッジディスカバリーケミストリー(旧ケンブリッジコンビナトリアル)の所有権を引き渡したもので、ミレニアムによる買収金額は3,500万ポンドになる。ミレニアムは、メディシナルケミストリーとコンピューテーショナルケミストリーの先端技術を85名の技術者とともに手に入れたことになり、同社の科学者部隊は一気に倍増の150名強に拡大した。

 OMGは今年に入ってから一連のリストラクチャリングを進めているが、その最大の理由は昨年に巨額の損失を計上したこと。1999年12月期は、売り上げが前年比8.9%減の1,976万ポンド、営業損失は1,607万ポンドとなり、特別損失を合わせて2,208万ポンドの純損となった。

 OMGはソフトウエア事業とソリューション事業が2本柱となっているが、ソリューション事業では、1997年2月にケンブリッジコンビナトリアルの設立に関与し、8月に追加出資、1998年9月にこれを買収した。また、1997年12月にはHTS技術専門会社の英ケンブリッジドラッグディスカバリーに出資、その後これも買収していた。

 OMGは1999年度決算を改善するため、ケンブリッジドラッグディスカバリーの普通株19.99%に相当する所有権を416万ポンドでケンブリッジジェネティックス社に売却するなどの努力をしたが、巨額の損失を埋め合わせることは難しかったようだ。

 1999年のディスカバリーソリューション部門の売り上げは、前年比40.8%増の845万ポンドと好調だが、10万8,000ポンドの営業損失を出している。1999年末時点でのこの部門の資産価値は528万ポンドと見積もられるという。

 今回、ケンブリッジディスカバリーケミストリーの買収総額のうち、3,350万ポンドがOMGの手元に入り、残りの150万ポンドがオプションの所有者に支払われる。また、ケンブリッジディスカバリーケミストリーの株式はプロリシス社およびケンブリッジドラッグディスカバリーも少数を所有しているようで、ミレニアムにはこれらに対する先買権も与えられている。

 買収後は、ケンブリッジディスカバリーケミストリーはミレニアムに完全に統合されるが、オフィスは地元の英国ケンブリッジにとどまる模様。ミレニアムは、バイオ医薬品の先進ベンチャー企業で、遺伝子をベースにした特定個人向け医薬品の開発を目指しているという。