米ファーマコピアによる英OMG買収が完了

合併後の新戦略を10月末にも明らかに

 2000.09.26−米ファーマコピアによる英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)の買収が完了した。日付は9月6日で、次いで9月22日にOMGの臨時株主総会が開催され、共同清算管財人と社名変更に関する提案が行われたのち、ロンドン証券取引所における株式の売買も正式に停止された。一方、ファーマコピアはOMG統合にともなう新組織・新体制、新たな製品計画などの基本方針を10月末をめどに確定させる予定。懸案となっている日本での販売体制などについても年内には決定したいとしている。

 今回、ファーマコピアが買収したOMGのソフトウエアソリューション部門は1999年12月期で売り上げが約1,500万ドル。約120名の技術スタッフがこの事業に携わっていた。買収総額は約2,700万ドル。とくに重要視されたのが、RS3(アールエス・キューブ)をはじめとするケムインフォマティクス製品群、旧ジェネティックコンピューターグループ(GCG)のバイオインフォマティクス製品群である。今後のコンピューターケミストリーシステム(CCS)の当面の主力分野となる“インフォマティクス系”の高度な技術力と実績のある製品群が魅力だったと考えられる。しかも、バイオインフォマティクスはファーマコピアの青写真のなかで“欠けているピース”だった。

 これらは、新薬開発のための機能を提供するもので、ユーザーは欧米の巨大製薬企業が中心であり、ユーザーサイドにはできることなら単一のソリューションプロバイダーから製品を導入したいという志向があるという。また、ファーマコピア自身もNASDAQの上場会社だが、株式市場での信頼性・安定性の観点からも、企業規模を拡大する意味は大きいといえる。

 さて、ケムインフォマティクスに関しては、今年2月に買収した英シノプシスとの絡みもある。シノプシスはオラクルをベースにした化学データベース(DB)エンジン「Accord」を中心にしており、DBコンテンツにも強い。実際、シノプシスの売り上げの49%はソフト、51%はコンテンツとサービスだったという。一方のOMGのRS3はやはりオラクルをベースにした化学DBシステムだが、ハイスループットスクリーニング(HTS)や試薬管理などのDBアプリケーションが得意であり、TsarやDIVAといったデータ解析ツール、TOPKATなどのデータ創製ツール、ダイヤモンドディスカバリーと呼ばれる統合製品体系を確立してきている。

 このため、旧シノプシスのDBエンジン技術、旧OMGのDBアプリケーション技術を合体させつつ、新しいケムインフォマティクス製品体系を形づくっていくものと予想されるが、いずれにしてもシノプシス統合後に策定されていた製品計画は、今回のOMG買収で少なからぬ変更を余儀なくされたはず。ファーマコピアは、CCSニューズの取材に対して買収完了後60日間で今後の基本方針をまとめると約束しており、10月末には新戦略が明らかになるとみられる。