住商エレクトロニクスがサイビジョン新製品

毒性DBツールと高機能QSAR解析ソフト

 2000.09.18−住商エレクトロニクスは、化合物の毒性やいわゆる環境ホルモン(内分泌かく乱物質)に関する情報を収集したデータベース(DB)システム「TOXSYS」、および化合物の構造と活性の相関を自由に解析できる「QSARIS」−の2製品を発売した。どちらも米サイビジョン社が開発した新システムで、医薬品の開発に役立てることができる。コンピューターケミストリーシステム(CCS)の世界では、ADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性などの物性予測に注目が集まっているが、精密な予測を行うための基礎データがまだまだ不足しているのが現実。同社では、まずDB利用が先行するとみて、積極的な提案活動を進めていく。

 サイビジョンは、化合物の生理活性などに関係があるLogP(水/オクタノール分配係数)などの物性予測のツールで知られているが、2年ほど前に学術出版社のアカデミックプレスの傘下に入っており、DBコンテンツにも強いベンダーになってきている。

 今回のTOXSYSは、約24万件の化合物および混合物の毒物学DBと約1,200件の環境ホルモンDBを収録。毒性DBはこの分野の定番である「RTECS」のデータを用いており、化学式や分子構造、豊富な文献情報が網羅されている。検索はテキストと化学構造をキーに行うことができ、とくに文献情報検索では調べたい6種類の毒性によって専用の検索画面が用意されているので、毒性値の範囲指定や実験動物種、毒性評価方法などをもとにした複雑な文献検索を簡単に実行することができる。

 また、毒性が未知の化合物について、マウス経口毒性LD50を予測する計算機能が付属している。さらに「SciLogPウルトラ」がバンドルされているので、分子構造からLogP値を予測することもできる。

 環境ホルモンDBは、サイビジョン社が独自に作成したもので、関連する論文の著者、発行日、要約、さらにサイビジョンの専門家によるコメントが収められている。

 TOXSYSのDBは1年に4回アップデートされ、年間使用料金は1ユーザー100万円となっている。ウィンドウズパソコンにインストールして使用することができる。

 一方、QSARISは、ウィンドウズ上で定量的構造活性相関(QSAR)解析を行うためのソフトで、ダイポールモーメントやE-state、ClogPなど約400種類もの記述子に対応していることが最大の特徴。

 QSARは分子の特性を示す物性値を記述子として統計処理することでモデル式を導き出し、分子構造と薬理活性との相関を見い出す研究手法。このため、活性と相関の高い記述子を用いることがカギだが、その点でQSARISは400種類の記述子が利用でき、統計処理アルゴリズムも遺伝アルゴリズム、線形多重回帰分析、主成分分析、部分最小二乗法の4種類を用意しているので、独自の相関式をつくり上げたいという研究者に最適の機能を提供できる。TOXSYSの毒性データを解析して毒性予測式を作成することも可能だという。

 同時に、遺伝アルゴリズムを使って、どの記述子がモデル式に適しているかを自動的に判断する記述子選択機能がついているので、逆にQSARの専門知識が少ない実験科学者でも、手軽にQSAR解析を試してみることができるようになっている。ソフト価格は、買い取りで約200万円。