インター・タッチが旅行者向けインターネット接続サービス

プリンスホテルに全面導入、VDSL方式の高速接続

 2000.09.19−インター・タッチ ジャパン(本社・東京都台東区、吉崎夏来代表取締役)は、出張などのビジネスマン向けに高速のインターネット接続サービスを提供する同社の高速VBN(ビジターベースドネットワーク)システムをプリンスホテルに導入した。VDSL(ベリーハイビットレート・デジタル加入者線)方式の高速接続が可能で、客室および宴会場・会議室などからインターネットが自由に利用できるようになる。ハードウエアはスリーコムジャパン、インターネットプロバイダーにNTTコミュニケーションズが採用されている。利用料金は、1日当たり1,500円。

 VDSL方式のインターネット接続を、国内のホテルが導入するのは初めて。まず10月初旬に東京プリンスホテルの全484室中の300室にこの設備を設置するのを皮切りに、11月に品川プリンスホテルの500室、12月上旬に六本木プリンスホテルの100室と幕張プリンスホテルの200室、横須賀プリンスホテルの50室、来年1月上旬に新宿プリンスホテルの100室、来年の春には赤坂プリンスホテルの761室全室に導入を行っていく。このほかにも、全国のシティ系のチェーンを中心に順次サービスを展開していく予定。

 ホテル内のシステムはスリーコムのVCN(ビジター&コミュニケーションネットワーク)と呼ばれるもので、客室内に設置されるアクセスポイント装置、それらを束ねるアクセスコントローラーおよびLANスイッチ、課金などの処理を行うVCNサーバー、ホテル内のLANをインターネットに接続するルーターなどで構成されている。

 利用者は、自分のノートパソコンを客室の専用ジャックにつなぐだけ。ブラウザーを立ち上げると自動的に設定が読み込まれ、すぐにインターネットが利用できるようになる。LANカードを持っていない人には、ホテルのフロントで無料貸与してくれる。接続速度はVDSL方式の10Mbpsで快適。

 このサービスのすべてを構築して提供するのが、インター・タッチ社。プリンスホテルにとっては、例えば客室に飲み物の自動販売機を設置するようなもので、今回のサービス開始に当たっても設備投資はゼロという。利用料金の1,500円はインター・タッチの収入になり、ホテル側はその10%を手数料として得ることになる。

 プリンスホテルでは、最近になってインターネットや電子メールを利用したいビジネスマンが増加し、IT(情報技術)関係の会議や宴会需要が急増しているとしており、そうした利用者の要望に応え、ホテルのサービスの価値を高める点でも導入効果が大きい。

 インター・タッチは豪州を拠点とするベンダーで、ホテルや展示会・会議場、空港待合室、集合住宅・病院などからインターネット接続を提供するサービスを行っており、現在アジア太平洋地域だけでホテルのトータル1万5,000室を網羅しているという。