バーテックスリンクが台湾ABITの最新マザーボード

Ultra ATA/100、RAID対応など、最新規格を盛り込む

 2000.10.18−バーテックスリンク(本社・東京都千代田区、由利義和社長)は、台湾ABIT(アビット)社の最新マザーボード3種類を11月上旬から発売する。ABIT独自のジャンパーレス技術が強化され、きめ細かな設定がさらに簡単に行えるようになったほか、RAID対応、Ultra ATA/100対応など、最新規格を標準で盛り込んだ。ABITは台湾で第5位のマザーボードメーカーで、今年の5月に台湾株式市場に一部上場した。今年のマザーボード出荷量は300万枚に達する見込み。

 新製品マザーボード3種は、すべてATXフォームファクター。VIA Apollo Pro 133Aチップセット搭載でデュアルCPU/RAID対応の「VP6」、インテルのi815EチップセットでRAID対応/CPUソケット370型の「SA6R」、i815EでCPUスロット1タイプの「SH6」の3種。価格はすべてオープンプライスだが、店頭販売価格はそれぞれ2万1,000円、2万円、1万8,000円前後になる模様。

 VP6は、FC-PGA版ペンティアムIIIを2個装着できるデュアルCPUタイプのマザーで、現行のBP6の後継機に当たる。メモリーはPC100/133のSDRAMを2ギガバイトまで搭載可能。また、チップセットのサウスブリッジ(VT82C686B)に加え、ハイポイント社HPT370チップを搭載しており、最大8台のUltra ATA/100対応IDE機器を接続することができる。RAID対応ポートに接続された4台のハードディスクをRAID構成にできるのが最大の特徴。

 現在はRAIDに利用するのはSCSIハードディスクが多いが、VP6では安価なIDEハードディスクをRAIDにできるので、システムを組んだ時の費用を最大で10万円以上削減可能だという。RAIDは複数台のハードディスクを並列に接続する技術で、大きなデータを分割して書き込むことにより見かけのシークタイムを短縮させて高速化を図る“ディスクストライピング”(RAID-0)、データを二重化して書き込んで安全性を高める“ディスクミラーリング”(RAID-1)、さらにそれらを併用する“ストライピング&ミラーリング”(RAID-0+1)を実現することができる。

 ソフトウエアでジャンパーレスを実現する「SOFT MENU III」により、ベースクロック(FSB)を66MHz、75MHz、83−150MHzまでの70の基本速度に対し、1MHz単位で28MHzまでのクロックアップ設定が可能。FSBに対するPCIクロック比は2分の1、3分の1、4分の1の3種類、CPUコア電圧は1.3−1.85Vまで0.5V刻み、I/O電圧は3.3−3.6Vまで0.1V刻みなど、それぞれの部品ごとにきめ細かな設定が行える。設定数値をキーボードから直接入力できるようになったので、簡単で速い。

 一方、SA6Rはi815Eチップセットを搭載しており、VP6と同様にハイポイントHPT370によるUltra ATA/100対応RAID機能を持っている。グラフィックとサウンド機能が内蔵されているのでエントリーシステムの自作に最適。ソケット370タイプのCPUが利用でき、FSBは50MHzから250MHzまで1MHz刻みで設定可能。

 3つ目のSH6はスロット1タイプのi815Eマザーで、CPUは古いペンティアム2などを流用して、Ultra ATA/100機能をまず利用してみたいなどの自作ユーザーに適している。これにはRAID機能はない。

 また、今回来日したABIT社のジャスパー・タイ・マーケティング部長によると、同社は現在、米、仏、韓国、トルコ、フィンランド、ロシアで自作パソコン用パーツのナンバーワンブランドになっており、日本でもトップ3に入っている。今年は300万枚のマザーボードを出荷し、全世界のマザー生産量の5%を占めることになるという。

 今後は、マザーボードだけでなく、マルチメディア製品やベアボーンキットなどにも力を入れるほか、自社ブランドでの自作市場に加えてOEM市場にも進出していく計画。OEMでは、トップ10オーダーの中の2件、およびベアボーン案件の1つを受注することを当面の目標にしている。