富士通が呉羽化学工業からCCS技術資産を取得

BioFrontier、ChemLibなどを完全に富士通製品としてサポート

 2001.04.25−富士通は24日、コンピューターケミストリーシステム(CCS)分野のソリューションを強化するため、呉羽化学工業から同分野の技術資産を取得したと発表した。富士通にとって呉羽化学はCCSの最も古いパートナーで、1984年から共同開発を開始し、1986年に国産CCSの草分け的存在でもある「ANCHOR」を製品化した関係。現在も3種類のシステムを共同開発製品として販売しているが、今回それらが完全な富士通製品としてサポートされていくことになった。

 今回、富士通が呉羽化学から技術取得した対象となる製品は、代謝・阻害剤情報データベース(DB)ソフトウエア「BioFrontier」、化学構造式情報処理ライブラリー「ChemLib」、化学構造式/反応式作図ソフトウエア「ChemFrontier」の3種。

 BioFrontierは、基本的な代謝反応と酵素阻害剤の情報を体系的に収集してまとめた統合DBソフトで、構造式/反応式による検索、経路探索、作画、簡易モデリングなどの機能があり、生化学関連の研究に有効利用できる。

 ChemLibは、CCSの機能を組み込んだアプリケーションを開発するためのプログラムライブラリーで、構造式のクリーンアップ、二次元構造式から三次元構造への変換、DBからの部分構造検索、DBからの反応検索などの機能を提供する。ケムインフォマティクス関連のアプリケーション開発や、個別のユーザーの要望を取り入れたカスタム開発などのプロジェクトで利用できるという。

 ChemFrontierは、ウィンドウズ上で動作するドローソフトで、化学構造式や反応式を簡単に記述することができる。

 CCS分野で、富士通がこれまでに外部から取得した技術およびソフトとしては、半経験的分子軌道法ソフトウエア「MOPAC」(1991年に開発者のJ.P.スチュワート博士とコンサルタント契約を結び、1993年から富士通の著作物となった)、汎用統合型分子モデリングシステム「CAChe」(もともと1980年代後半に米テクトロニクスが開発したシステムで、昨年3月に英オックスフォードモレキュラーグループ(当時、現アクセルリス)から買収した)などの事例がすでにある。