日本MDLが生物系DB最新版アッセイエクスプローラー2.0を発売

HTS対応機能を強化、ADME・薬物動態解析で威力

 2001.06.15−日本MDLインフォメーションシステムズは、創薬研究で行われるアッセイ(評価分析)などの生物学的データを統合管理する「アッセイエクスプローラー」(商品名)の最新版バージョン2.0を販売開始した。とくに、非定型的で扱いにくかったマニュアルアッセイを柔軟にサポートできることが特徴だったが、最新版ではアッセイロボットによるハイスループットスクリーニング(HTS)に対応する機能が強化され、生物系データベース(DB)管理システムとして機能が整ってきた。同社では、トップシェアを誇る化学系DB管理システム「ISIS」と合わせ、今後は創薬研究における統合DBシステムプロバイダーとしての戦略に力を入れていく。

 創薬研究では、主に化学系と生物系の2種類のデータを扱うが、構造式や物性、反応情報、書誌情報などを管理する化学系DBでは20年以上前からMDLが業界標準的な地位を占めている。しかし、生物系DBは以前はデータ量が少ないこともあって、研究者が個人的にパソコンなどで管理する場合が多く、定番といえるソフトは存在していなかった。ところが、近年のHTSの普及によって扱うべき生物学的なデータが急増し、最近では英IDビジネスソリューションズの「アクティビティベース」といった新興勢力が実績を伸ばしているのが現状である。

 MDLのアッセイエクスプローラーは、マニュアルアッセイからHTS、インビボ(生体内)までの生物実験に関するプロトコル、生データ、分析結果をリレーショナルデータベース(RDB)で一元的に管理することができる。クライアントにウィンドウズ、RDBのプラットホームにオラクルを使用する。

 アッセイエクスプローラーのバージョン1は、どちらかというとマニュアルアッセイでの柔軟さを武器としていたが、今回のバージョン2.0ではHTSをサポートする機能が強化され、同社ではアクティビティベースと十分に対抗できる機能を備えたと位置づけている。

 とくに、ADME(吸収・分布・代謝・排出)などの薬物動態に関する研究で威力を発揮するようになった。例えば、マウスに薬物を経口あるいは静脈注射で投与し、血中濃度を測定してデータを解析、その代謝速度や吸収率を調べる場合、エクセルなどで行おうとしてもワークシートの作成が非常に難しい。アッセイエクスプローラーはVBA(ビジュアルベーシック・フォア・アプリケーション)を利用した関数エディターを備えており、薬物動態解析に役立つ代表的な計算式が組み込まれているため、手早く簡単にデータ解析が行える。

 また、ISISから構造式を取り込んだフィールドを挿入してテーブルを作成し、その構造式を用いてISIS上の毒性や代謝のDBを検索させることが可能。このとき、アッセイ結果で活性が高い化合物でも、毒性があったり、代謝が悪かったりするなどの情報が得られれば、二次アッセイに送る必要はないなどの判断を下すこともできる。

 バージョン2.0のリリースに合わせて導入実績も拡大してきており、この3−5月で新たに3件の受注が決まった。現在の国内ユーザー数は4社で、そのうちの1社はアクティビティベースからのリプレースだという。同社では、年内にさらに1−2社からの受注を見込んでいる。