米クレイがNCIとバイオインフォマティクス研究ツールを共同開発

STRマッピングを実現、遺伝子/たん白質関連の大規模解析を可能に

 2001.07.10−スーパーコンピューターメーカーの米クレイ社は、米国立がん研究所(NCI)高等生物医学コンピューティングセンター(ABCC)と共同で、より強力なバイオインフォマティクス研究ツールの開発を行う。すでに、ヒトゲノム全体のSTR(ショートタンデムリピート、短い縦列型反復配列)の包括的なマップ作成に成功しており、最終的にはがんやその他の病気に関係する遺伝子を識別したり解析したりする総合ソフトウエア技術の確立を目指していく。

 今回の共同研究は、米国メリーランド州フレデリックにあるNCI−ABCCに設置したクレイのベクトル型スーパーコンピューター「SV1」を利用して行われている。予備プロジェクトとして行われたSTRマッピングの結果、SV1に特有のアーキテクチャーを活用することでバイオインフォマティクスのさまざまなアプリケーションに共通の処理の高速化に大きく貢献できることがわかってきたという。

 とくに、大量の遺伝情報を扱うバイオインフォマティクスでは、統計的なサンプリング手法によって計算時間を短縮する努力が図られているが、今回のSV1を利用することで全体をくまなく解析する包括的手法に道を開くことになったとしている。STRプロジェクトでは、以前は何時間もかかっていた計算を秒単位で完了させることができた。

 開発したSTR解析ツールは、新しい遺伝子のマッピング、染色体構造の研究、生物種間のDNA比較などに利用できる。共同研究グループはさらに、ノンタンデムリピート(非縦列型反復)、ESTクラスターアセンブリー、CG孤島検出、BACクローンによるゲノムアセンブリー、SNP(一塩基多型)などの解析ツール群を開発中。プロテオーム関連のアプリケーションにも対象を広げていく。