アクセルリスが日本で受託アノテーションサービスを開始

3手法統合で網羅率向上、たん白質アミノ酸配列を大量処理

 2001.10.24−大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーの日本法人であるアクセルリスは、たん白質のアミノ酸配列を解析してアノテーション(注釈)を付ける受託事業を開始した。独自の統合遺伝子配列解析システム「GeneAtlas」(ジーンアトラス)を利用して国内に専用のサーバーを設置し、ユーザーから比較的少量の配列データを預かる形でサービスを展開する。米国では、特定ユーザーとのコンソーシアムを組んで同様のサービスを提供しているが、広く受託をするのは日本が初めての試みとなる。費用も安価だとしており、システム導入前のトライアルの位置付けでも利用が可能。

 GeneAtlasは、PSI-BLASTなどを利用する一般的なホモロジー検索法に加えて、独自ソフトのSeqFoldを用いて二次構造情報を加味した解析、さらには同社特有のホモロジーモデリング技術を用いてアノテーションを付ける“HTM”(ハイスループットモデリング)法を組み合わせた大量アノテーションサーバー。複数アルゴリズムを並行処理することで単一の手法ではカバーしきれないアノテーション付けが可能なことが特徴で、例えばPSI-BLASTで髄膜炎菌の全遺伝子の54%にしか付けられなかったアノテーションを、GeneAtlasでは70%まで付けることに成功したなどの例がある。

 一般的なインテルプロセッサー1個で1日に10シーケンスを処理することができ、アクセルリス本社では200−300プロセッサーのLinuxクラスターでGeneAtlasを運用している。GeneAtlasを導入する場合の価格は、年間使用料で3,000万円。

 このツールを使って実際にアノテーションを付けたデータベースを「AtlasStore」(アトラスストア)の名称で提供しており、ヒトやコレラ菌をはじめとする24種類の生物ゲノムがそろっている。

 今回、日本法人に設置したのは2プロセッサーのIA(インテルアーキテクチャー)/Linuxサーバーなので、1日に20シーケンスを処理する能力がある。大量のシーケンスの注文に対しては、米国のサーバーを利用することになっており、サービス料金は10シーケンスで150万円、100シーケンスで900万円。

 米国では、コンソーシアムメンバー以外を対象としたサービスは実施していないが、日本には大量のシーケンスを保有していないユーザーも多いため、GeneAtlas本体を導入するのはオーバースペックだとする声もあって、今回の受託アノテーションサービスを開始することにした。

 すでに引き合いがあり、20シーケンスのプロジェクトを受注し、完了させている。短納期で詳細でわかりやすいレポートまで出力されるため、ユーザーから高い評価を得たということだ。