CCS特集第3部:バイオインフォマティクス

日立製作所

 2001.11.31−日立製作所は、ドライとウェットの両方のノウハウを駆使して、ゲノム創薬を中心としたアウトソーシングサービスを幅広く提供している。コンピューターメーカー出身でありながら、基礎研究に定評のある日立の伝統を生かし、生物実験系の人材や技術を擁している点で他社とは一線を画した事業展開をみせている。

 同社のライフサイエンス推進事業部は、埼玉県川越市に120−130名のスタッフを集約した専用拠点を構えている。ウェット系の人材が過半数を占めており、全体の4分の1が中途採用のスタッフであるなど、良い意味で日立の古い体質を持たない活性化された組織を築いている。

 同社では、2002年度に単年度黒字化を目指しているが、昨年までは官公庁関連が中心だった売り上げも、今年は民間向けが7−8八割を占めるまでになっており、利益率にも貢献が大きい。これまでに、民間で20数社にサービスを提供した実績があり、リピーターも増え、プロジェクトの規模や範囲も拡大する傾向にあるという。

 最近の目立った動きでは、今年4月に米ミリアッド・ジェネティクスや米オラクルなどと共同で米国に「ミリアッド・プロテオミクス」を設立した。3年以内にヒトのたん白質のすべての相互作用を解明し、データベース化するという野心的なプロジェクトで、10月から本格的な解析が動きはじめた。得られた特許やデータベースをビジネスにする予定である。