CTCLSとCRCソリューションズがXMLベースで共同事業

米ラブブックと提携、バイオインフォマティクス分野での普及を狙う

 2002.01.29−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)とCRCソリューションズは、ゲノムなどのバイオインフォマティクス情報をXML形式で統合的に扱うための研究支援システムを共同で事業化する。米ラブブック(本社・バージニア州、シャウン・グリーン会長兼CEO)のソフトを利用し、販売はCTCLSが、技術サポートと拡張サービスをCRCが担当する。欧米ではインターネットをベースとした情報の共有と交換のための標準形式としてXMLが注目されており、そうした動向を先取りした形で提案を行っていく。

 最近、インターネット技術がIT(情報技術)のさまざまな領域に入り込んできるなかで、とくにデータ交換の標準形式としてXMLが注目されている。ライフサイエンス関連でも、昨年6月に40以上の組織が共同でI3C(インターオペラビリティー・インフォマティクス・インフラストラクチャー・コンソーシアム)を設立、XMLとJavaをベースにした標準規格づくりを進めるなどの動きがある。

 米ラブブックはXMLをベースにした“BSML”(バイオインフォマティク・シーケンス・マークアップ・ランゲージ)を提唱している企業。I3Cへの提案が行なわれているほか、GenBankやEMBL、NIH、SWISS-PROTなどの主要ゲノム機関がすでにBSMLをサポートしているという。

 ラブブックの製品には、バイオインフォマティクス研究のための電子ノートブック「eLabBook」と、BSMLベースでゲノム情報の検索とグラフィック表示を行う「Genomic XMLブラウザー」がある。さらにはオハイオ州立大学のヒトゲノムデータベースの販売も行っている。

 eLabBookは、散在している研究データやドキュメントを作成・構築・検索・管理する統合ツールで、インターネットとシームレスにリンクし、多くの情報ソースを有効活用することができる。異なる情報および各種のフォーマットで記録されたドキュメントやデータを透過的に検索したり、まとめて管理することが可能。 Genomic XMLブラウザーと連携して配列データの検索や解析も一貫して行うことができる。

 ソフトウエアのライセンス価格は、オハイオ州立大学のデータベースへのアクセス権を含めて120万円からとなっている。

 CTCLSとCRCでは、今後ライフサイエンス分野でXMLが普及すると判断。ラブブックの技術をベースにしたソリューションを共同で提供していくことにした。CTCLSが一手に販売を行い、CRCが技術面で全面的にバックアップする。両社はともに伊藤忠商事系のITベンダーだという共通項があって提携に至った。

 ユーザーが保有する既存のドキュメント類をBSML形式で統合的に全社管理するための変換ソフトの開発や、XMLの特徴を生かして外部のソフトウエアとの連携処理を実現するなどの高度な要求にも応じていく計画だ。