日本IBMがウェブサービス対応の統合開発ツールを発売

開発の全工程をサポート、オープン開発環境を提供

 2002.01.29−日本IBMは28日、次世代eビジネスの中核になるウェブサービスをはじめとしたウェブアプリケーション向け統合開発ツール「IBM WebSphere Studio Application Developer for Windows(ウェブスフィアスタジオ・アプリケーションデベロッパー)」(略称・WSAD)を開発、日本語版を2月8日から出荷すると発表した。ウェブコンテンツの作成からプログラミング、テストまでアプリケーション開発のすべての工程をフルカバーできる。とくに、ウェブサービスの開発から発行までをシームレスに行える開発ツールは現時点では他にないという。ソフト価格は49万1,800円。

 WSADは、IBMのウェブアプリケーションサーバー製品である「ウェブスフィア・アプリケーションサーバー」で稼働するアプリケーションを開発するための支援ソフトウエアで、英語版は昨年11月に発売された。

 アプリケーション開発環境の製品体系を一新するもので、従来のJava開発ツール「VisualAge for Java Enterprise Edition(ビジュアルエイジ・エンタープライズ版)」が統合され、開発のためのプラットホームとしてIBMがオープンソースコミュニティーに提供した「Eclipse(エクリプス)」をベースにしている。最終的な製品体系としては、エントリーレベルのeビジネスアプリケーションを開発するための「ウェブスフィアスタジオ・サイトデベロッパー」(今年の第1四半期に発表予定)、今回のWSAD、COBOLやPL/1もサポートし本格的な基幹業務開発に対応する「ウェブスフィアスタジオ・エンタープライズデベロッパー」(発表時期未定)の3階層のラインアップが計画されている。

 今回のWSADの最大の特徴はウェブサービスの開発に対応したこと。SOAP(シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル)やWSDL(ウェブサービス・ディスクリプション・ランゲージ)などの最新の標準技術に対応しており、ウィザードを使った対話形式でサービスを開発・記述することができる。他のウェブサービスと連動させたり、Javaビーンズに対応させたり、バックエンドの業務システムやデータベースと連動させたりすることも容易。開発したウェブサービスのテスト、個々のデバイスに対応したクライアントの作成、UDDI(ユニバーサル・ディスクリプション・ディスカバリー&インテグレーション)への公開など、開発のあらゆる作業を統合的に行うことができる。

 とくに、開発したアプリケーションのパフォーマンスのモニタリングや、それらのプロファイルを作成してサービス間のボトルネックを発見してパフォーマンスを改善するなど、基幹業務系では当たり前でもウェブアプリケーション開発では見過ごされてきた機能も積極的に盛り込んでいる。IBMとしては、ウェブスフィアスタジオがあらゆるアプリケーション開発を網羅する新たな基盤製品となることを想定しているようだ。

 多機能の統合製品は使い方が複雑になる場合も多いが、WSADはさまざまな工程を担当する個々の開発者の視点でツール群を再構成できるようにデザインされており、高度な機能を簡単に使いこなすことが可能。プラットホームがオープンソースのエクリプスであるため、他の開発ツールを組み合わせて自分好みの柔軟な開発環境にしあげることもできる。

 現在、WSADはWindowsNT/2000で利用できるが、Linux版も近く提供をはじめる予定である。