プロックスジャパンが著作権保護のASPサービスを開始

デジタルコンテンツ流通を促進、個人クリエイターにも門戸

 2002.02.13−プロックスジャパン(本社・東京都新宿区、東山美樹代表取締役)は、著作権を厳密に保護した形でコンテンツの配信からネット決済までを可能にするASP(アプリケーションサービスプロバイダー)サービス「D-ADmission(Dアドミッション)」を開始した。初期導入費用が15万円、月額利用料金は配信が20件までは無料となっており、コンテンツホルダーの企業だけでなく、個人のクリエイターにも広く門戸を開いていく考えだ。

 ブロードバンドの普及にともなって、コンテンツ配信ビジネスに注目が集まっているが、実際には違法コピーや違法流通の恐れがあるほか、既存の著作権保護システムが高価だという問題もあって、本格的なビジネス化に至っていないのが現状。そこで、同社では手軽なASPサービスを安価に提供することによって、コンテンツ流通を促進することを狙いとして今回のサービスを開発した。

 具体的には、著作権管理保護および動的電子透かしなどのコア技術をスキルアップジャパン(本社・東京都豊島区、坂野哲平代表取締役)と共同開発。ASPサービスを提供するためのインフラはケーブル&ワイヤレスIDC(本社・東京都台東区、サイモン・カニンガム社長)が担っている。

 今回のD-ADmissionには、一般ユーザーにコンテンツのコピーや流通を無断でどんどんやってもらおうという逆転的な考え方がある。そのようにして広めたコンテンツを、実際に閲覧したり再生したりしようとする際にライセンスが求められる仕組み。利用者がライセンスに同意すると、D-ADmissionのサーバーから閲覧などを行うためのライセンスが発行される。

 この時、コンテンツホルダーは、ライセンス条件として(1)アンケートに答えてもらうことでライセンスを発行(2)会員として登録してもらうことでライセンスを発行(3)有料コンテンツとして課金をしてライセンスを発行−の3種類をあらかじめ設定しておくことができる。また、ライセンスの有効期限や再生・閲覧回数の制限、さらにはCD-Rなどへの複製を許すかどうかなど、きめ細かい設定を追加することも可能。

 D-ADmissionには、入力されたアンケートを集計・分析する機能や、ライセンス発行先を追跡するトラッキング機能もあるので、顧客情報を集めたりするマーケティングツールとしても有効だという。

 実際の使い方としては、コンテンツホルダーはまず自分のコンテンツをD-ADmissionのサーバー上にアップロードして著作権保護の処理や各種ライセンス設定を行い、保護されたコンテンツを再びダウンロードして、それを自分のルートでインターネットに配信していくという流れになる。すなわち、D-ADmissionのサービス自体にはコンテンツ配信サービスは含まれていない。

 そこで同社では、別途支援サービスを用意している。デジタルコンテンツを配信する際に必要なホスティングサービスや一括メール動画配信システム、ストリーミングサービス、エンコーディングサービス、著作権・隣接権の法的権利処理業務代行、加えてコンテンツ制作におけるビジネスプランニング、撮影・収録、CD/DVDパッケージングなどの各種サービスを幅広く提供していく。当面はこちらのほうの事業で収益を得る計画のようだ。