住商エレクトロニクスが創薬支援でクラスターシステムを提供

たん白質ドッキング/バーチャルスクリーニングを高速実行

 2002.04.23−住商エレクトロニクスは、新薬候補化合物のバーチャルスクリーニングシステムで、Linuxクラスターの販売に力を入れる。同社が総代理店を務めている米トライポス社の統合分子設計支援システム「SYBYL」(商品名)の最新バージョン6.8でクラスターがサポートされたことに対応するもの。同社では、以前からコンパックコンピュータのIAサーバーを利用したLinuxクラスタービジネスを推進しており、分子設計とクラスターのノウハウを合体させて最適なソリューションに仕立てて販売を行う。

 最近、低コストで高速な計算環境を実現でき、スケーラビリティにも優れたLinuxクラスターの需要が急速に拡大しているが、システムを構築してうまく稼働させるためには専門のノウハウが必要とされるため、それをサポートするビジネスも順調に伸びてきている。

 今回、トライポスがクラスターに対応させたのはSYBYL6.8を構成するバーチャルスクリーニングモジュールである「FlexX」(商品名)。これは、たん白質と薬物分子のドッキング計算を高速に行うシステムで、標的のたん白質に結合し得る医薬候補物質をハイスループットで絞り込むことに役立つ。

 たん白質の立体構造を固定したまま、薬物分子を部分構造に分割し、立体配座を変更しながらたん白質の活性ポケットに当てはめていく。この時、水素結合や疎水性などの化学的性質を考慮して薬物分子とたん白質との相対配置を決めるという仕組み。SYBYLのモジュールのなかでも計算量が膨大になるため、クラスターによる並列化処理の効果も大きいという。

 また、化合物データベース(DB)の3次元構造検索も計算パワーが必要とされる処理の典型であり、今後クラスター対応が図られる可能性があるようだ。

 同社はコンパックのトップディーラーでもあり、プロライアントDLシリーズなどのIAサーバーを利用してクラスターを組んで提供する。ノード間はミリネットなどの高速なスイッチで接続することも可能。Linuxのディストリビューションとしては、今回はレッドハットを採用する。