日本SGIが京都大学ICRと提携してバイオDB構築サービスを開始

DBGET中核にゲノムネットサービスの民間導入に道

 2002.07.23−日本SGIは、京都大学化学研究所(ICR)と提携し、バイオデータベース(DB)システム構築支援サービスの提供を開始した。ICRのバイオインフォマティクスセンターが開発・運営しているバイオ関連情報統合DB検索システム「DBGET」を中核にしたシステムを民間企業などが導入することを総合的に支援していく。基本的には、アカデミックを中心にした“ゲノムネット”のサービスに対する民間からの敷居を低くすることにつながるとみられ、その反響が注目される。

 日本SGIは、以前に買収した日本クレイ時代の実績も含めて、京都大学ICRおよびバイオインフォマティクスセンターの情報システムの構築や運用を全面的にサポートしてきた経験がある。今回、同センターの金久實教授と五斗進助教授の協力を得てバイオインフォマティクスに関するSI(システムインテグレーション)サービスを展開するもの。

 とくに、今回のサービスで中心に据えているのはDBGETで、これは核酸配列、たん白質配列・構造、酵素、パスウェイ、さらに遺伝病やたん白質突然変異など世界の二十八種類のバイオ関連DBを網羅しており、特定のフィールドに対象を絞ったキーワード検索やエントリー情報の抽出を行うことができる。教育機関に対しては無償で開放されているが、民間企業などの営利機関が使用するためには特別にICRバイオインフォマティクスセンターから許可を得る必要があった。

 今回、日本SGIは同センターと連携してその認可業務を代行。利用したい企業にDBGETのソフトウエアをインストールするとともに、バイオDBのデータ更新システムやホモロジー検索システム、マルチプルアライメント検索システム、モチーフ検索システムから構成される統合バイオDBシステムをインテグレーションしていく。

 また、同センターが開発している生命情報統合DBであるKEGGのインストールやアップデートサービスも提供する予定で、基本的には日本のゲノムネットが提供しているサービスの自由な商用利用に道をつけることを目指しているとみられる。

 バイオDBシステムは、すでに多くのベンダーから商用サービスが行われているが、日本SGIではICRとの協力関係を武器にしながら、費用面でも低価格でのサービスを推進していく計画である。

 なお、今回提供できるシステムの特徴としては、(1)バイオDBに特化した検索システムであり、使いやすいウェブインターフェースを備える(2)BLAST/FASTAとのウェブインターフェースを備えており、検索結果のグラフィック表示、検索結果の各エントリーからDBGETへのリンクが可能(3)ウェブインターフェースを使ったモチーフDBに対するモチーフ検索、指令されたモチーフによる配列DB検索のほか、マルチプルアラインメントを用いたモチーフ作成が可能(4)DB自動更新によるDBGET/FASTA/BLASTフォーマットの自動生成(5)インタープリター言語を中心としたシステムで、インハウスDBの組み込みやカスタマイズが容易−などの特徴がある。