フェーズフォワードが臨床データの電子収集ソリューション

21CFRパート11対応、迅速・正確に症例報告を集約

 2003.02.08−新薬の臨床試験を総合支援する専門IT(情報技術)ベンダーである米フェーズフォワード社(本社・マサチューセッツ州、ポール・ブレイシャー会長)が、臨床試験データを電子的に収集する“電子データキャプチャー”(EDC)を実現するソフトウエアおよびサービスを国内で提供開始する。重要な症例報告をすばやく正確に回収できることが特徴で、米食品医薬品局(FDA)の定める“電子記録・電子署名に関する規制”(21CFRパート11)を満たしている。今後、日本でもEDCのニーズが本格化すると見込んで事業体制を整えた。

 今回のサービスは「InForm-J」(インフォームJ)という名称で、日本法人のフェーズフォワードジャパン(本社・東京都千代田区、出口秀雄社長)が中心となり、国内のデータセンター事業者(IDC)と共同するかたちで実施する。契約した製薬会社は、臨床試験機関に対してあらかじめIDとパスワードを知らせておき、実際に臨床を担当する医師などに直接ウェブサイトにアクセスしてもらって、電子的に入力された症例報告書(CRF)を集めるというスタイルになる。

 臨床施設側にはウェブブラウザーがあるだけでいいので、EDCを展開するための時間や費用はほとんどかからない。画面は完全に日本語化されており、だれでも簡単に操作できるほか、既定値を外れたデータをチェックする機能も組み込まれているため入力ミスを減らすことが可能。

 機密保護の観点から、顧客ごとにIDCを切り替えてサービスを提供していく予定で、料金は1,000万円から数億円規模まで条件によって異なる。

 同社のインフォームは欧米では6年前から提供されており、これまでに世界で8,000の臨床施設が5万3,000以上のCRFを処理した。ブレイシャー会長によると、欧米でもEDCの普及率はまだ6%程度だが、今後5年以内に60%まで急拡大することが見込まれるという。国内では、紙によるCRFを併用するハイブリッドスタイルでの普及が予想されるとしており、今回のサービスはそれも考慮したつくりとなっている。

 またEDC自体は、データ収集の迅速性・正確性を高めるのが主眼だが、人手による回収に比べてコスト的なメリットもある。長く利用するほど、コスト削減効果があらわれてくるという。

 なお、フェーズフォワードは、2001年8月に臨床試験管理システム「Clintrial」(クリントライアル)で知られている米クリンソフトを買収した企業で、日本法人のフェーズフォワードジャパンは旧クリンソフトジャパンの体制・スタッフを引き継いでいる。