CCS特集:アダムネット

ツールキット利用し受託開発サービス、配合設計新ソフトも

 2003.06.26−アダムネットは、米デイライトの化学データベースシステムを基盤に、ケムインフォマティクス分野の受託アプリケーション開発に力を入れていく。デイライト製品には、豊富なツールキット・開発環境が整っており、実験研究者にも使いやすいウェブベースのシステムを簡単に構築できるという特徴がある。

 同社では、デイライトのツールキットを購入したユーザーに対して、具体的なアプリケーション開発を請け負うというかたちでの事業展開がメインになってきている。とくに、大手のパッケージで対応しにくいニッチ的な開発案件が主体だが、今後は化学アプリケーション統合のカギとなる技術としてデイライト製品を活用していきたいという。化学構造データを管理するために独自の“SMILES表記法”を採用しており、オラクルのデータカートリッジ技術に対応した“DayCart”の評価が高い。

 一方、昨年から販売開始した米メタフォリックスのドッキングシミュレーションソフト「Dock It」は、SMILES形式でたん白質の活性部位にフィットする化合物を高速度で評価することができる。日本でもユーザーサイドでの評価が進んできており、今後に期待できる。

 また、米バイオバイトのlogP推算プログラム「CLogP」は、これまでは医薬分野での利用がほとんどだったが、米国では合成高分子設計のためのモノマー物性予測のアプリケーションで使われる例が出てきており、アダムネットとしてもそれら新しい用途での浸透を図りたい考えだ。

 さらに、今年は新製品として英インテリジェンシスの配合設計支援システム「Inform」を導入する。ゴムやプラスチック、接着剤などの分野の配合設計を助けるツールで、ニューラルネットを利用したエキスパートシステムとなっている。実は、アダムネットが過去に販売していた旧AIウエア社の同種のソフト「CAD/Chem」(米コンピュータアソシエイツに買収されて開発が停止)のユーザーだったグループが自ら新開発した製品だという。国内の旧CAD/Chemユーザーも関心を示しており、近く正式に調印する予定である。