CCS特集:日本ヒューレット・パッカード

独自パッケージ武器に実績拡大、今年はグリッドに全力

 2003.06.26−日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、バイオインフォマティクス分野のパッケージソフトを国内で独自開発。それを武器に切り込んで、各種ハードウエアの提供やシステムインテグレーション(SI)などのビジネスに発展させる戦略である。とくに、最近話題になっているグリッドコンピューティングではかねてから先進的な取り組みを続けてきており、通常の計算グリッドだけでなく、データグリッドにも対応できることが強み。実用システムへのグリッド技術の適用を積極的に推進していく。

 同社が開発したパッケージには、バイオデータベースの全文検索システム「バイオサーチャー」、ウェブベースのホモロジー検索ツール「バイオファインダー」、世界中のバイオ関連データベースから自動的に情報を取り込む「バイオコレクター」などがある。実際にこれらが案件獲得のきっかけになるケースが多いため、引き続き機能強化を行っていく方針だ。

 とくに、同社が今年に力を入れるのがグリッドコンピューティングへの取り組みで、大阪大学のバイオグリッドプロジェクトにもバイオコレクターが採用されている。データグリッドの考え方を利用すれば、物理的にばらばらに存在するデータを共通したディレクトリー構造で一元的に管理することが可能で、OS(基本ソフト)やファイルシステムの違いも簡単に乗り越えることができる。しかも、セキュリティやパフォーマンス、運用管理にはグリッドの国際標準を利用することができるため、システムを組みやすいという利点もある。研究所内のデータ統合・共有化をデータグリッドで行うことも可能であり、デモンストレーションやセミナーなどを行うと、ユーザーの関心が非常に高いことに気づくということだ。

 また、高速なコンピューター環境ということでは、今年の夏に出る予定のインテルの64ビットプロセッサーであるアイテニアムの第3世代(コード名・マディソン)が注目される。一般的にはWindowsまたはLinuxのプラットホームとしての期待が大きいが、実はアイテニアムで動作する唯一の商用UNIXが同社の“HP-UX”であり、CCS分野の既存アプリケーションのパフォーマンスを大きく引き上げることが可能なのである。すでに、GaussianやAMBERなどの定番の計算化学プログラムの最適化作業に入っているようだ。

 PCクラスターに関しても、同社はユーザーに構築や調整の負担をかけないパッケージシステムに仕上げて納入するように務めており、とくにコンピューターに不慣れなバイオユーザーに好評だという。