CCS特集:医薬分子設計研究所

創薬のための総合的なCCS技術を確立、パッケージ事業拡大へ開発を加速

 2003.06.26−医薬分子設計研究所(IMMD)は、1995年に設立された国内の創薬ベンチャーのはしりともいえる企業で、創薬のための総合的なCCS技術を研究開発するとともに、それを利用した受託研究および創薬ビジネスを推進している。最近では、パッケージソフトの製品化にも積極的に乗り出しており、ラインアップを強化しつつある。

 同社の分子設計技術は、低分子側からの薬物設計と、遺伝子・たん白質側からのアプローチとの両方に対応できる方法論を備えていることが特徴。さまざまな角度からの論理的創薬を実現するCCSのシステム群を擁している。

 同社の主力事業はあくまでも受託研究と創薬だが、事業多角化/リスク分散の意味からパッケージビジネスにも力を入れていく考えだ。

 すでに製品化されているものとして「Key3D」がある。これは、二次元の構造式から三次元構造を立ち上げるソフトで、化合物データベースを二次元から三次元へ一括変換する際などに便利だ。ランダムな座標を発生させ、MMFF力場(メルクモレキュラーフォースフィールド)を使ってエネルギー最小化計算を繰り返し、立体構造を決めていく。計算時間が1構造当たり5秒程度と高速なのが特徴で、8年前からコンソーシアム制で開発されてきたが、2年ほど前から広く販売するためにパッケージ化された。高速だが精度も良いので、分子軌道計算の初期座標に使われるケースも多いという。

 また、現在開発中なのが「KeyRECEPS」。ハイスループットスクリーニング(HTS)で得られた活性データを解析し、3D-QSAR(構造活性相関)解析を行う機能がある。具体的には、ヒット化合物の活性データと三次元構造を自動的に重ね合わせて評価し、いくつかの候補を選定。さらに、できるだけ骨格の異なる分子同士を重ね合わせてふさわしいモデルをつくり上げていく。そうして、モデルと相関式ができあがれば、それに活性が未知の化合物を当てはめてバーチャルスクリーニングに利用することが可能。NEDOプロジェクト「HTSスクリーニング支援システム」として開発しているもので、期限は来年3月末だが、今年の秋にも先行して製品化したい考えである。

 そのほか、たん白質の自動モデリングシステムも開発中。ホモロジーモデリング法によってアミノ酸配列からたん白質の立体構造を予測するもので、「良い主鎖構造は安定な側鎖パッキングを与える構造である」という基本仮定をもとにしている。構造が既知の参照たん白質のアミノ酸配列が同じ部分の情報を利用しつつ、側鎖の自由度を許し、側鎖が取り得る配座をすべて考慮できるのが特徴だという。

 一方、バイオインフォマティクス関連では、生物情報管理システム「KeyMine」、分子−機能ネットワーク型データベース「KeyMolnet」など、最初からパッケージ製品として独自開発したものが中心になる。とくに、KeyMolnetは、たん白質・生体内物質・遺伝子・疾患・医薬に関する膨大な情報を相互にリンクさせており、ネットワークやパスウェイの観点から個別情報を関連付けて理解を深めることができる。最近、同種のシステムが他社からも販売されつつあるが、KeyMolnetは10数名の専門スタッフが実際に文献を読んでコンテンツをつくり上げていることが特徴となっている。