CCS特集:ウェイブファンクション

日本支店開設で拡大へ、教育バージョンも本格投入

 2003.06.26−分子軌道法をベースとした分子設計支援システム「SPARTAN」を開発している米ウェイブファンクションは、昨年8月に日本支店を設立、日本市場に対して本格的に進出した。この間に販売体制もあらためて固まり、引き続き安定した事業拡大を目指していく。米国側では教育分野に的を絞った新製品を強化してきており、日本での戦略が注目されている。

 SPARTANは、ノートパソコンで利用できるほどのコンパクトなCCS製品で、計算化学の専門家でなくても簡単に使いこなせるように洗練された操作性が特徴。今年は最新版のSPARTAN04のリリースが予定されており、さらなるユーザー層の拡大を狙っていく。

 この最新版では、解析速度の向上が図られているほか、代表的な化合物や部分構造に対してあらかじめ計算した結果を収録したデータベース(DB)が組み込まれており、全体的に作業のスピードアップが可能。例えば、計算したい分子をモデリングしている最中に、それがDB内に存在している構造かどうかを自動的にスキャンし、該当すればその化合物や官能基の名称が自動的に表示され、その構造データと計算結果の電荷のデータなどを参照・表示できるようになる。また、ある骨格を含む分子をDB内から検索してリストアップするなどの使い方も可能。DBには20万件のデータが登録されている。

 一方、SPARTANはその使いやすさから教育分野での実績が豊富だが、米国では教育専用の2種類のパッケージが発売されている。一つは昨年10月に発表された「SPARTANスチューデントエディション」で、もう一つは前回のACS(米国化学会)で公開された「ODYSSEY」。後者は、分子動力学法(MD)を用いて化学の勉強をするためのソフトで、そのまま教材として使用できるようにワークブックが組み込まれている。大学生向けとして開発されており、年内には製品化される予定だという。

 日本市場においては、まずはSPARTANスチューデントエディションを本格展開する考えで、チュートリアルの日本語化も完了した。CCSを利用した化学教育に関心のある先生方への貸し出しなども行っていく。