日本総研が日本IBMと共同でJ-OCTAをグリッド対応へ

日米欧三極のIBMグリッド基盤で検証、共同セミナーも実施

 2003.06.12−日本総合研究所は、材料設計支援システム「J-OCTA」(商品名)のグリッドコンピューティング対応を進めるため、日本IBMと技術およびマーケティングの両面で提携した。IBMの日米欧にまたがるグローバル拠点を結んだグリッド検証施設を利用し、日本IBMと共同で実際にこの環境にJ-OCTAを移植して稼働させ、性能や問題点などを検証、製品化に結びつける。同時に、共同でのセミナー開催などのプロモーション活動も展開。 J-OCTAの普及に向けて、強力なパートナーシップを推進していく。

 J-OCTAは、経済産業省プロジェクトを通して開発されたシステムで、日本総研が3年計画で商用化を実施。2005年3月に正式な製品版を完成させる予定である。現在は、予約販売という形で開発途中のバージョンを提供し、ユーザーからのフィードバックを受けつつ、機能強化を進めている。

 J-OCTAは、高分子のメソ領域をシミュレーションによって解析するシステムで、ナノテクノロジー分野をはじめとする高機能な高分子材料の開発に役立つと期待されている。ただ、複雑なモデルを扱うとかなりの計算時間を必要とするため、高速化への要求が強く出されており、同社では通常の並列処理への対応と同時に、グリッドコンピューティングとの統合も実現することにした。

 一方の日本IBMは、グリッドの実用化をワールドワイドで推進しており、日本の幕張、米国ポキプシー、仏モンペリエの3ヵ所の大規模コンピューターセンターを結んだグローバルなグリッド検証システムを構築している。国内では、10社ほどのソフトベンダーと提携して、具体的な応用例を増やそうとしている。

 今回、日本総研では、IBMとの技術協力のもとに、実際のグリッド環境でJ-OCTAを動かし、分散したグリッドのノード間で複数のシミュレーションエンジンを連携動作させたり、条件を変えた計算を同時に走らせたり、単一の大規模計算を並列化してスピードアップを図ったりするなど、さまざまな処理のパターンを検証し、グリッドコンピューティングへの最適化を進めていく。

 提携の皮切りとなる共同セミナーは、材料科学ソリューションセミナーとして6月23日に、ナノ・バイオソリューションセミナーとして7月29日にそれぞれ東京で開催される。詳細は以下のURLまで(http://www-6.ibm.com/grid/jp/seminar/index.shtml