インフォコムが新しいQSAR解析ソリューションを発売

加ファーマアルゴリズム製品、ユーザー独自の予測システムを構築可能

 2003.08.02−インフォコムは、加ファーマアルゴリズム(アラナス・ペトラウスカス社長)と代理店契約を締結、新しい構造活性相関(QSAR)解析ツールの販売を開始した。ハイスループットスクリーニング(HTS)などの実験データを用いて構造と各種物性との相関を統計解析し、予測のための相関式を自分でつくり上げることができる。複数の相関式を多段階に組み合わせ、大量の候補化合物群を一気にフィルタリングするような使い方も可能。WindowsNT/2000対応で、ソフトウエア価格は650万円から。

 ファーマアルゴリズムは1999年の設立で、主力製品の「アルゴリズムビルダー」は2002年1月に発売されている。最新版の1.6はこの5月にリリースされたばかり。製品としては、「QSARビルダー」と「ADMEボックス」もあるが、それぞれがサブセットの位置づけになっている。つまり、基本的なQSARツールとしてモデルと相関式を作成する機能を持っているのが「QSARビルダー」で、「アルゴリズムビルダー」はそのスーパーセットそして複数のモデルを用いてユーザー独自の予測アルゴリズムを構築するための統合ツールとして利用できる。そして、具体的にADME(吸収・分布・代謝・排出)特性予測のアルゴリズムをあらかじめ組み込んだのが「ADMEボックス」という関係である。これは、対話式でADME特性を予測するシステムだが、「アルゴリズムビルダー」にはバッチ式で大量化合物を一度に取り扱える「ADMEスクリーン」がバンドルされる。

 さて、相関モデルの作成においては、統計手法とフラグメンタル手法を組み合わせて適用できるのが特徴。小さなデータセットでも、高精度にディスクリプターを発生させ、モデル式を作成することができる。また、定量的な構造活性相関だけでなく、定性的な“C-SAR”手法にも対応している。これは、リカーシブルパーティショニングと呼ばれ、二分割する判別条件を繰り返して母集団をクラス分類していくもの。ビジネスマーケティングなどの世界で多用される手法だが、QSARビルダーでは判別式の中で化学構造が扱えるように拡張されている。

 アルゴリズムビルダーを使えば、個別に作成した相関式を階層的に組み合わせて、自社内の化合物ライブラリーや創薬ターゲットに合わせたオリジナルの予測システムを構築することができる。

 一方、ADMEボックスは、ファーマアルゴリズムが独自のデータセットを用いてADME特性予測専用に仕上げた製品で、2次元の構造式からLogPなどの物理化学的性質、溶解性、LD50毒性、ヒトの膜透過性などを予測することができる。

 インフォコムは、ADME分野で豊富な実績を築いており、すでに各種のソフトウエアを提供中。その中には、米シミュレーションズプラスのQMPRプラス、米シュレーディンガーのQikProp、ハンガリーのコンピュードラッグ製品群などがあるが、それぞれにもとになっているデータやモデル、予測手法に違いがあり、実際のところは同じ構造式を与えてもソフトによって異なる結果が出る場合も少なくないという。このため、同社としてはADMEツールをできるだけ幅広く用意するという観点から今回の製品をラインアップに加えた。また、ファーマアルゴリズム製品は本来のADME研究である薬物動態分野ではなく、創薬のスクリーニング段階で使用するソフトであるため、その意味で既存製品群との住み分けができるという。