CASがオンライン検索サービスSciFinderの最新版

反応検索機能を大幅に強化、検索結果の解析機能を統合

 2003.10.23−米国化学会(ACS)の一部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、オンライン情報検索サービスの最新版「SciFinder2004」の提供を開始した。とくに、化学反応の検索機能が大幅に強化されており、利用者は登録されている700万件の化学反応情報を簡単に駆使することができる。有機合成研究の生産性・効率性・創造性の向上に寄与する。研究開発にますますスピードが要求される現在、特許などの他社の動向を知って研究の重複をなくしたり、技術導入の可能性を探ったりするような迅速な判断が必要不可欠とされる。その意味で、今回のサービスは化学・製薬企業の大きな武器になりそう。

 SciFinderは国内代理店の化学情報協会を通して利用することができ、費用は企業または研究所単位での年間定額契約となる。

 これは、研究者自身が自ら利用できるエンドユーザー向け検索サービスで、1907年以来の2,300万件の文献情報、2,200万種類以上の化学物質情報、700万件の有機化学反応情報、700社/600万製品を収めた市販化学品カタログ情報、23万物質に関する化学物質規制情報、70ヵ国/3,900ジャーナルを網羅した医学文献情報にアクセスすることが可能。

 とくに今回、反応情報検索の新機能として“反応分析”機能を追加しており、利用者は使用する触媒や溶媒、反応ステップ数、収率といったカテゴリーごとに化学反応を解析することが可能。ほしかった反応情報を短時間でみつけ出すことができる。

 また、ヒットした検索結果のなかから特許申請されたものだけを取り出したり、収率の分布を調べたりする解析作業も、クリックひとつで行うことができるようになった。これまでは、検索結果をもとに利用者が手作業で集計・分析を行っていたため、有用な情報を得るまでの作業時間が大幅に短縮される。

 さらに、化合物データベースにおいて配位化合物・混合物・ポリマーなどに限定して検索を行う機能も追加されている。

 今回、CASでは世界最大級の民間科学情報プロバイダーであるオランダのエルゼビア社と相互リンクで合意しており、SciFinderユーザーはエルゼビアの電子ジャーナルへの全文アクセスが直接に行えるようになる。逆に、エルゼビアのオンラインサービスの利用者は、ACSの雑誌のフルテキストへの直接リンクが可能になる。

 なお、CASに関する日本語の情報は以下のURL(http://www.cas-japan.jp/)から入手できる。