インフォコムが米シュレーディンガーの創薬支援ソフト2種を新発売

たん白質立体構造モデリングなど、SBDDのトータルソリューションが完成

 2003.12.23−インフォコムは、米シュレーディンガーが開発した新パッケージソフトウエアとして、たん白質の立体構造を予測する「Prime」と三次元分子構造を自動発生させる「LigPrep」の2種類を新たに販売開始した。今回、シュレーディンガーの創薬支援パッケージがすべてバージョンアップされており、新製品と合わせることでストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)のためのトータルソリューションが完成した。標的たん白質の構造にフィットした薬物分子設計を行うことが可能。製品群が整ってきたため、新しいライセンス体系も導入する予定である。

 シュレーディンガー製品は、たん白質とリガンドの相互作用を解析するためのスイート製品「ファーストディスカバリー」、配座探索プログラム「MacroModel」、ADME(吸収・分布・代謝・排出)物性予測プログラム「QikProp」、量子化学計算プログラム「Jaguar」−から構成され、今回すべてが新バージョンとなった。

 新製品のPrimeは、たん白質のホモロジーモデリングのための統合ソフトで、アミノ酸配列の相同性検索、マルチプルアライメント、二次構造予測などの機能を持ち、未知のたん白質の立体構造を精度良く予測し構築していくことができる。

 単独でも使用できるが、「ファーストディスカバリー」に含まれるドッキング解析ソフトである「Glide」との組み合わせで威力を発揮する。具体的には、Primeで標的たん白質をモデリングし、これに薬物候補化合物を当てはめて高速・高精度にバーチャルスクリーニングを実施するGlideに連携させることが可能。たん白質とリガンドとのフィッティングによるドッキング評価など、両ソフトを組み合わせた高度な機能を実現している。

 一方、LigPrepは二次元分子構造から三次元立体構造を自動的に立ち上げるソフト。同種のソフトはこれまでにもあったが、今回のLigPrepは多機能が特徴となっており、単純に立体構造を生成するだけでなく、塩の除去、異性体の自動発生、条件指定によるイオン化モデルの自動発生、条件を指定しての構造データベースからの自動抽出など、バーチャルスクリーニングにかけるためのリガンド構造を用意する作業を一貫して支援できる。これまでは複数のツールを使い分ける必要があったため、LigPrepによって研究業務の効率が大幅に向上するということだ。

 インフォコムでは、シュレーディンガー製品のラインアップ増に対応し、ユーザーの利便を図るために来年から新しいライセンス形態を導入することを計画している。トークン(回数券)パック方式で、契約しているトークンの範囲内ですべてのソフトを自由に利用できるというもの。いまのところ、10トークン以上からの販売を予定しているが、個々のパッケージの消費トークン数や具体的な価格などの詳細はまだ決まっていない。