アマノが時刻認証サービスを一般企業向けに積極拡大へ

電子文書の作成時刻を厳密に証明、知的財産の保護に有用

 2004.01.17−アマノは、時刻認証・デジタルタイムスタンプサービス「EVIDENCE」(エビデンス)で、一般企業向けの事業展開を強化する。これは、電子文書の作成日時などを厳密に証明する技術で、その点での確実さが要求される官報(国立印刷局)などの特殊な分野で採用が進んできた。しかし、最近では企業内の機密情報が電子的に保存されることが増えており、そうした知的財産を保護する観点からもこのソリューションが有用だとして、対象を大幅に広げて提案活動を推進することにした。同社ではこれを次世代の主力事業に育てる方針。

 EVIDENCEサービスは、「アマノタイミングセンター」によって信頼のおける確定時刻を付与することで、その電子文書の改ざん検知を可能とするタイムスタンプを提供するサービス。ある時刻にその文書がすでに存在していた事実と、それ以降に内容が改ざんされていない完全性とを証明することができる。

 電子文書はPDFファイルを対象としており、タイムスタンプ操作はアドビアクロバットに組み込まれたメニューアイコンをマウスでクリックするだけ。タイムスタンプの印影にはいくつかのスタイルを選択することができ、スタンプを非表示にすることも可能。具体的には、PDF文書全体のハッシュ値を計算し、そのデータをタイミングセンターに伝送。センター側で時刻を確定し、ハッシュ値を暗号化されたタイムスタンプとして送り返してPDFファイルに埋め込むという仕組みである。

 タイムスタンプ入りのPDFファイルは、eメールなどを介して第3者に配布することが可能。閲覧者が時刻を確認・検証するためにタイムスタンプをクリックすると、ハッシュ値を再計算し、暗号化されて埋め込まれた元のハッシュ値と比較することで、ファイルが改変されていないことを確認する。文書内容が一部でも書き換えられていると、タイムスタンプが無効と表示される。

 パソコンに内蔵されている時計は自由に時間を変えられるため、単純なファイルの作成日時だけでは法的な証拠能力は得られない。このため、時刻認証と電子署名を組み合わせることが完全な保護につながる。実際、昨年7月から採用している官報でもこの形式をとっているという。

 とくに、研究所における実験ノートや報告書などの電子文書は、製造業にとって生命線となる“独創的なアイデア”がいつ生まれていたかを証拠付ける重要な知的財産であるとみなされる。同社では、こうした文書にタイムスタンプを押しておくことの意義を訴えていく考え。PDFには実験で得られた画像などを埋め込むことができるが、それも差し替えや改変が行われていないことを証明できる。

 タイムスタンプの導入に当たっては、9,800円のパソコン用パッケージを購入するか、あるいはアプリケーション組み込み用の開発ツールを利用することが可能。スタンプは24時間いつでも押せるが、1回当たり20円の費用が発生する。閲覧者が時刻を検証するソフト(アドビリーダーのプラグイン)は、同社のホームページ(http://www.e-timing.ne.jp/)から無償ダウンロードできる。検証操作は何度行っても無料。また、このサイトでは、NTPサーバーを使ってパソコンの時計の時刻合わせをするフリーソフト(http://www.e-timing.ne.jp/download/index.html)も公開されている。