日本ブロードビジョン:ジュゼッペ小林会長インタビュー

企業情報ポータルで対日積極展開へ、パーソナル化とセルフサービス化を推進

 2004.03.05−日常生活にも企業活動のなかにもインターネットがすっかり浸透してきたが、「B2BでもB2Cでも、ウェブを使った今後のビジネスで成功するためには“パーソナライズ”(パーソナル化)と“セルフサービス”がキーワードになる」と語るのは日本ブロードビジョンのジュゼッペ小林会長。昨年9月に就任以来、技術スタッフを中心に日本法人の陣容を3倍に拡大するなど、対日戦略強化の陣頭指揮をとっている。企業情報ポータルの大手ベンダーとして、同社のソリューションの狙いを聞いた。

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 米ブロードビジョンは1993年に設立された。ワンツーワン・マーケティングやeコマース、企業情報ポータルのための統合パッケージソフトを提供している。ドットコムバブルの崩壊で、ピーク時に4億ドルを超えていた売り上げは2003年12月期で8,810万ドルと激減したが、直近の4期(四半期)連続で黒字化を果たすなど、バブル後の回復が早い企業の一つといわれているようだ。

 「いまや、インターネットを通してポータルサイトから情報を提供することはビジネスの土台になっている。ブロードビジョンのポータルは、豊富な実績にともなってフィードバックされた顧客ニーズが実際に反映され、パッケージに最初から盛り込まれており、短期間・低価格で統合的なソリューションを構築できることが強みとなっている」と小林会長。ウェブアプリケーションはもっとスマートになるべきだと訴える。

 「例えば、製造業の最近の動きをみても、顧客や取引先とのビジネスのプロセスをウェブベースでセルフサービスにしていくという基本的な流れがはっきりとしてきている。その方が相手にとっても便利だからだが、これをうまく行うためには、相手を認識してパーソナル化されたポータルを提示する必要がある」という。

 中国に工場がある企業では、社内ポータルにアクセスした場合、中国人社員がサイトを開くと中国語で、日本人が開くと日本語のサイトが自動的に表示されるようなかたちで利用される例もあるという。また、顧客がセルフサービスで商品を注文する場合などでも、いつも入力する項目をあらかじめ埋めた状態でフォームを示すことも容易。法規制に絡んで、同じような書類を何度も作成しなくてはならないような時にも、こういった機能は便利ではないかとしている。

 「当社のポータルを使わなくてもeビジネス自体は成り立つことが悩みだが、利用者からみた利便性が大きく異なってくる」と小林会長。ポータルのパーソナル化を実現しているかどうかで大きな企業格差がつく時代が来るとも考えられよう。

 さらに小林会長は「現在のウェブアプリケーションは一対一のコミュニケーションを想定したものがほとんどだが、クレーム処理などのように、メーカーと代理店と顧客の三者が関係する場合でも、円滑にコラボレーションができるようにする新製品を開発中で、近く発表できる予定だ。まったく新しいアプリケーションとして、画期的なものになると思う」と紹介する。

 日本法人は2000年8月に設立されたが、これまでは数名で小規模に運営されてきていた。小林会長は「いまが日本市場で成長するチャンス」だとしてスタッフを20名に拡大、いよいよ積極的な事業展開に乗り出していく。コーポレート単位での全面的な採用例を増やすことをまずは目指していきたいという。