サンがプロジェクト“LookingGlass”をデモンストレーション公開

三次元デスクトップ環境を実現、対マイクロソフト色を強める

 2004.02.20−米サン・マイクロシステムズのソフトウエア事業部門を率いるジョナサン・シュワルツ執行副社長が、18日に東京・千代田区のホテルニューオータニで行われた開発者向けコンファレンス「Java Technology Conference 2004 featuring SunTechDays」の基調講演に登壇し、Javaの市場性や将来性の大きさを強調して、Java向けソフトウエア開発を加速するように訴えた。携帯電話でいかに成功しているかに加え、マイクロソフトが支配するデスクトップ分野を塗り変えるべく開発中のプロジェクト“LookingGlass”(ルッキンググラス)に関する紹介が注目された。

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 シュワルツ副社長は、「ウォール街の人たちはサンの表面的な業績だけをみて、Javaを中止すべきだとか、Javaを売却すべきだなどと述べているが、彼らはJavaのビジネスモデルをまったく理解していない」と批判した。「Javaは携帯電話市場で大きな成功を収めており、世界で222機種のJava対応携帯電話が販売されており、77社のキャリアがサービスを提供中。昨年1年間で世界中のコンシューマーはJava携帯電話あるいはそのサービスに30億ドルも支払った勘定になる。これだけの市場があると、開発者にとってもJava携帯電話向けのソフトウエアやコンテンツ開発は大きなチャンスになる。しかも、これはこれからも伸びる一方の市場である」と論じた。

 次いで、パソコン分野に話しを移し、同社が提供している「Javaデスクトップシステム」を紹介した。これはLinuxベースのデスクトップ環境で、Windowsとそっくりの概観を備えている。「STARTボタンが“Launch”に、My Computerが“This Computer”になっているだけ」(シュワルツ副社長)だという。統合オフィスソフトの「スタースイート」がバンドルされており、Windowsとの高い互換性を持っている。昨年12月からユーザー1人当たりの年間使用料100ドルで提供を開始したが、すでに11万人がこのデスクトップシステムを利用しているとした。

 シュワルツ副社長は、「ただ、外観がWindowsに似ていることが面白くない」と茶目っけたっぷりに述べ、開発中の“プロジェクト・ルッキンググラス”を紹介、デモンストレーションを行った。これは、三次元化されたデスクトップで、どちらかというとMacOS Xに似ている。ウィンドウは映像などを表示させたまま三次元的に回転させることが可能で、複数のウィンドウを縦にして邪魔にならないように片付けておくこともできる。ウィンドウを裏返すと、そのウィンドウのプロパティ画面がくっついていたりする。まだまだ開発中の段階だというが、「デスクトップ環境からマイクロソフトを一掃したい」と冗談混じりながらも、最終目標をはっきりと示した。