2004年春季CCS特集:アクセルリス

新体制下で開発部門を強化、業界最大の製品群を有す

 2004.06.30−アクセルリスは、創薬研究を行っていた部門を分離し、ソフトウエア専業ベンダーとして再出発した。同社は、生命科学分野の「Discovery Studio」(ディスカバリースタジオ、DS)、材料科学の「Materials Studio」(マテリアルスタジオ、MS)という二大製品群を擁し、業界で最も幅広い製品体系を誇っている。新しい体制下で開発部門を強化しており、今後は日本市場のニーズもダイレクトに反映できるようになるという。

 最近は、DS製品群が教育市場で好評で、この4月には立命館大学にDSモデリングを80セット大量納入した。昨年の実績では、名古屋大学の大学院教育用に5セットという例もある。これまでは、教育向けは簡便なタイプのCCS製品が採用されることが多かったが、たん白質などの生体高分子のモデリングからドッキングシミュレーションまでを本格的に行えるシステムということでDSモデリングが選ばれたという。

 MS製品群は、CASTEPやDMolなどの量子化学エンジンが好調を持続している。また、今年からナノテクノロジーコンソーシアムを立ち上げる計画。ナノテク分野の材料開発に適用できる新しいソフトウエア開発を目指すもので、日本企業の参加も期待されている。メンバー企業は、開発資金を提供する見返りとして、開発の方向性をコントロールし、開発成果のソフトをいち早く活用できるメリットがある。

 一方、ケムインフォマティクス関連では、製品ラインの統合にめどがついたことから、あらためて統合化学情報管理システムAccordの販売に力を入れていく。

 開発体制の強化は、米サンディエゴ、英ケンブリッジ、インド・バンガロールの三極の位置づけを明確にするとともに、プロジェクトマネジメントや品質管理チームの増強というかたちであらわされており、今後の成果が期待されるところ。現在、全社員の45%が開発部門に集中しており、今後は最先端のサイエンスを速やかに製品としてリリースできるようになると期待される。