2004年春季CCS特集:富士総合研究所

SBDDとLBDDに両対応、最先端の機能性誇る

 2004.06.30−富士総合研究所は、科学技術計算の長年の実績と技術力を背景に、創薬支援の総合システムXsi(薬師)を開発、現在バージョン2.0をリリースしている。SBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)とLBDD(リガンドベースドラッグデザイン)の両方に対応できる最先端の機能を備えたシステムで、まずは実際のユーザー事例などを通して優れた解析事例を多く集めていきたいという。

 同社では、競合製品よりもいち早く最新の理論や手法を導入することを目指している。例えば、ドッキングシミュレーションでも、リガンド側とたん白質側のどちらかを固定する場合が多いが、Xsiでは完全フレキシブルドッキングが可能。また、三次元ディスクリプターを使って分子を重ね合わせるクリーククラスでは、他のソフトが30原子程度で落ちてしまうのに対し、Xsiは1,000分子にそれぞれ100の配座を発生させる条件でも、半日ほどで計算を完成させることができる。

 とくに、WHIMsと呼ばれるユニークなディスクリプターを発生させることができるが、これは長細い扁平な形状の分子を記述できるほか、質量の分布やチャージの分布など、いろいろな見方で近似を行うことにも応用できる。結合サイトの形状やリガンドにこのディスクリプターを使用することで、より精密なドッキングスタディが可能になる。

 さらには、バーチャルスクリーニングに有用な機械学習法として、サポートベクターマシンと判別分析法を組み込んだ。

 Xsiの豊富な機能は独自のスクリプト言語で自由に組み合わせて実行でき、プロにとっては操作性に優れているが、逆にCCSの初心者にはやや敷居が高い面もあるため、最先端の機能を追求すると同時に、GUI環境を装備したWindows版の開発も並行して進めている。