2004年春季CCS特集:ウェイブファンクション

化学教育用途で実績拡大、企業向けの新しい価格体系も

 2004.06.30−ウェイブファンクションは、大学などのCCS教育市場で実績を拡大している。分子軌道法を中心とした分子モデリングシステムSPARTANの学生版が順調に出荷を重ねていることに加え、一般的な化学教育に適したODYSSEYも新たに製品化された。

 ODYSSEYには分子動力学(MD)計算機能が組み込まれているが、計算化学そのものを学ぶことが目的ではなく、豊富な例題を通して「分子の世界を探検」するためのソフト。高校生から大学一般教養課程レベルをカバーする例題が77種類の項目に分かれて収められており、それぞれのモデルに対してMD計算を実行させながら化学について興味深く学ぶことができるというもの。

 教師版が4万8,000円、学生版が1万2,000円と安く、あらかじめ内蔵されている以外のコンテンツを自分で作成できるバージョンも製品化する予定だという。英語の体験版はすでにダウンロード(http://www.wavefun.com/software/odyssey_demo_request.html)できるが、国内においてはテキスト部分の日本語化を完了してから本格的に発売したいということだ。

 一方、SPARTANの学生版では、マニュアルの日本語訳が完了し、数10本単位で導入したいとの引き合いも増えてきているという。これまではWindows版だけだったが、今年の夏ごろにはMacOS X対応版も登場する予定。

 同社の日本支店の売り上げは、昨年は微増だったが、今年に入って好調を取り戻しているという。とくに、主力製品のSPARTAN '04の民間への実績が伸びている。3年間のレンタルライセンスなど、企業が導入しやすい価格体系も取り入れており、次のバージョンアップでは創薬研究向けの機能を強化・追加してさらなる拡大を狙うことにしている。