日立ソフトとDNAチップ研究所がGNIにヒトDNAチップを供給

2年間に数千枚を提供へ、病気と正常の遺伝子プロファイルを取得

 2004.04.02−日立ソフトとDNAチップ研究所は3月31日、創薬ベンチャーのジーエヌアイ(本社・東京都渋谷区、サボイ・クリストファー社長)に高感度オリゴDNAチップ「AceGene」(エースジーン)を供給することで長期契約を結んだと発表した。今後2年間に数千枚を供給していく予定。ヒト遺伝子全体の幅広いパスウェイと遺伝子間の相互作用を究明することで、合理的なアプローチによる新薬開発を目指すGNI独特の“システム創薬”の推進に活用していく。

 GNIは、九州大学の久原哲教授と東京大学の宮野悟教授によって2001年11月に設立された企業で、米国にもジーンネットワークス(本社・カリフォルニア州、経営陣は同じ)の名称で拠点を有している。通常のゲノム創薬的手法ではなく、「病気と正常という2つの異なる状況を引き起こした原因遺伝子の同定とそれに関係する遺伝子全体の幅広いパスウェイとその遺伝子間の相互作用を知ることによって有効なターゲットを発見する」という合理的方法論を特徴としている。

 日立ソフトとDNAチップ研究所は、この研究活動の基盤として「AceGeneヒューマンオリゴチップ30K」を提供する。これは、独MWGから技術導入したオリゴDNAを使用した低価格のDNAチップ/マイクロアレイで、1枚のチップ上にヒトの遺伝子をほぼ網羅している。両社が独自開発したスライドガラスのコーティング技術により、オリゴDNAを固定させる官能基を高密度・樹状に、しかもリンカーを長くすることに成功。通常よりも5倍以上という高シグナル・高S/Nを実現した。

 GNIは、低価格で高品質な同チップを用いて、病気の場合と正常時の遺伝子発現プロファイルを取得するための大量のサンプルを集める。また、1枚にヒト遺伝子を網羅的に搭載しているため、多くの遺伝子の働きを一度に調べることが可能。

 日立ソフトとDNAチップ研究所は、チップを供給することに加えて、特定の遺伝子におけるスプライシングやSNPs(一塩基多型)を検出するためのバイオインフォマティクス技術の提供を通じても、GNIの研究基盤の構築に協力していく。