住商エレと日本IBMが低価格無停止型サーバーを発売

ブレード型で無停止を初めて実現、手軽なペンティアム4タイプも用意

 2004.07.09−住商エレクトロニクスと日本IBMは8日、手軽に導入できる無停止型(フォールトトレラント)サーバーの新製品を発表した。ハードとソフトを組み合わせることで、一般的なIA(インテルアーキテクチャー)サーバーに無停止機能を付加することが可能。とくに今回、IBMのブレードサーバーを使用したモデルと、床置きできるミニタワー型モデルを追加しており、バリエーションが大きく広がった。無停止型市場の裾野拡大に向けて、両社共同で積極的な取り組みを進めていく。

 今回のシステムは、住商エレが販売権を持つ米マラソン社の無停止用ソフト「Marathon FTバーチャルサーバー6.0」をIBMハードウエアと組み合わせたソリューションで、サーバー2台をワンセットとしてすべてを二重化することで、一方のサーバーが障害を起こしても、アプリケーションをまったく停止させずに処理を継続することが可能。

 具体的には、デュアルプロセッサー型のサーバーを使い、1つのCPU(中央処理装置)で業務処理を行い、もう1つのCPUを無停止型処理に利用するという仕組み。2台のサーバー間は高速なネットワークで接続され、常にお互いを監視し合い、完全な同期をとって同じ処理を並行的に行うようにできている。

 通常はジーオンの2ウェイマシンを利用するが、今回の「FTバーチャルサーバー6.0」はペンティアム4のハイパースレッディング(HT)技術を利用して、1ウェイのペンティアム4サーバー2台でも無停止環境が実現できるようになった。

 両社は、今年の3月からラックマウント型のIBM xシリーズと組み合わせたシステムを提供してきたが、さらに高密度に実装できるブレードサーバーや、オフィス環境でも設置しやすいタワー型が欲しいなどのニーズに応えて、今回の新製品を開発したという。ブレード型の無停止機も、ペンティアム4ベースの無停止機も、どちらも業界初になるということだ。

 価格は、Windowsサーバー2003を含むハード・ソフト一式、および3年間の保守サポート付きで、ブレード型が320万円から、ペンティアム4タイプは235万円から(こちらのみ9月末までのキャンペーンで198万円で提供)となっている。とくにペンティアム4タイプは、メモリーを1GBに増設し、シリアルATAハードディスク(160GB)を4基フル搭載しているので、拡張不要でこのまま使い続けられるという。

 なお、両社の説明によると、高信頼性の要求される用途ではPCクラスターが採用される場合が多いが、クラスターは障害の起きたサーバーをフェイルオーバーで切り替えることになるため、最低でも数分間のシステム停止時間が生じてしまう。それに対して、今回のシステムは完全な無停止であり、業務をまったく中断させず、処理中だったトランザクションも完全に保護されるという。しかも、PCクラスターよりも低価格で運用も簡単に行えるため、両社では部門レベルの業務サーバーやファイルサーバーなどの用途にも普及が期待できるとしている。

可用性の要求レベルとフォールトトレラント

資料:住商エレクトロニクス、日本IBM

可用性レベル 特徴 代表システム 障害時の業務連続性 障害時のパフォーマンス保護 障害時のトランザクション保護 障害時のデータ保護
レベル4 ●二重化したハードウエアを同期動作させる●ユーザーから透過的なアクセス可能●ユーザーに影響がない●実行トランザクションが失われない●パフォーマンス低下しない フォールトトレラント
レベル2−3 ●二重化したハードウエアを用意してダウンしたら自動復旧させる●ユーザーとの通信は途切れるが再接続は迅速にできる●ジャーナルファイルから過去のトランザクションを回復することが必要になる場合がある●パフォーマンスが低下する可能性がある フェイルオーバー・クラスター △(数分の業務停止が不可避) △(設計に注意が必要、Active Standby) ×
レベル1 ●ユーザー業務は停止する●システムは制御不能●データは保護される データバックアップやRAID機能を追加したサーバー × × ×
レベル0 ●ユーザー業務は停止する●システムは制御不能●データは保護されない 通常のPCサーバー × × × ×