サン・マイクロがProject Looking Glassでプレスセミナー

次世代三次元デスクトップを実現、オープンソース化で開発を加速

 2004.09.02−サン・マイクロシステムズは8月31日にプレスセミナーを開催し、次世代デスクトップ環境として開発中の“Project Looking Glass”(ルッキンググラス)を紹介した。説明者は、米サンのソフトウエアCTOオフィスに所属している川原英哉氏で、Looking Glassを開発した本人だという。「三次元空間を使うことで現在の二次元のデスクトップをさらに使いやすくすること、および単一の企業に支配されてきたデスクトップ環境の進化をオープンソースコミュニティに委ねることで新しい流れを引き起こそうというのが、このプロジェクトの最大の狙いである」と説明する。

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 Looking Glassのデスクトップは一見するとMacOS Xにも似ているが、画面に三次元的な奥行きがあり、ウィンドウなどのオブジェクトもすべて三次元で表現されているのが特徴。このため、ウィンドウを奥にやったり、裏返したり、縦にして並べたりするなどのユニークな操作が可能。

 川原氏は、「この20年間にパソコンのハードウエアは1,000倍に高速化したが、デスクトップのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)はウィンドウにメニュー、アイコンと基本はまったく変わっていない。過去、三次元をデスクトップに持ち込んだ試みとして、ファイル構造を三次元的にみせたり、あるいはデスクトップの中に仮想現実をつくり、自分の分身のアバターを操作してファイル操作を行ったりした例があった。しかし、これらはウィンドウの中は三次元でもウィンドウ自体は二次元であり、かえって使いにくいものばかりだった」と振り返る。

 また、「20年前はアプリケーションの数も少なかったし、データも少なかったので、アイコンやメニューをぞろぞろ並べても問題はなかったが、現在では普通に利用するアイコンの数や開くウィンドウの数、データ数が格段に増加し、デスクトップが狭く窮屈になってきているのではないか」と述べる。デスクトップを三次元空間とすることで、そうした使いやすさを改善することがLooking Glassの第一の目的だったという。

 三次元のウィンドウマネジャーで直接三次元オブジェクトを描画するので、三次元の物体をドラッグ&ドロップしたり、任意にカット&ペーストしたりすることが自由に行える。ウィンドウの中はこれまでの二次元のアプリケーションであり、操作法は意外にわかりやすい。 開いたウィンドウが増えて画面が混雑すれば、デスクトップ空間自体を左右にスクロールさせるようにして新しい仮想デスクトップに切り替えることもできる。

 Looking Glassは、テストバージョンを経て、全体をモジュラー構造につくり直し、安定性を高めるとともに、開発環境も備えた開発者向けリリースを完成(写真参照)、これを今年の6月末にオープンソース化した。現在は、コミュニティ(https://lg3d.dev.java.net/)に開発主体が移っている。日本語で議論できるコミュニティも発足しているという。

 川原氏は、「これまでのGUIはアップルであれマイクロソフトであれ、つくるのは1社だった。Looking Glassはコミュニティの知恵を集めてつくり上げていく点で、これまでのやり方に一石を投じることができるのではないか」と話す。川原氏の所属するソフトウエアCTOオフィスは長期的な視野で技術開発を進める研究所とは異なり、2−3年先をみた開発を行っているという。Looking Glassも製品化へ向けた議論が進行中だが、ソフトウエアデザインのガイドラインがどのように定まるかが興味深いところ。「非常に保守的なアプローチと先鋭的なアプローチの両極を狙おうと思う。現在の二次元デスクトップの使い勝手をベースにすることを堅持しつつ、コミュニティからはある意味クレージーなアイデアをどんどん集めたい。たぶん真ん中を狙うと失敗するので、両極端で進める」と川原氏。実際の製品化が待たれるところだ。

 また、川原氏は最新の開発成果として、デスクトップ内に物理シミュレーション機能を取り入れた事例を紹介した。ウィンドウに質量を与え、デスクトップ空間に重力をかけるというもの。「開いたウィンドウが数秒でバタバタと倒れていくのでとても使い物になるものではないが、自分はコンピューターおたくだからウィンドウが倒れて折り重なった瞬間にウィンドウがちょっとズレて動いたりすると“すごい”と感動してしまう」と笑う。

 同社では、9月2日にアプリケーション開発者向けワークショップを開催しており、今後国内でも本格的な動きをしていくようだ。