パイプラインパイロットの販売権がアクセルリスに移動

サイテジックを事業部として吸収、基盤製品として発展を図る

 2004.11.26−米アクセルリスによる米サイテジック買収にともない、化学・薬学分野に特化したデータ解析自動化・マイニングツール「パイプラインパイロット」(商品名)の国内での販売体制が固まった。11月15日でエルゼビアMDLによる販売・サポートが終了し、16日からは日本法人のアクセルリスに全事業が引き継がれた。アクセルリスでは、研究業務のワークフローに合わせて複数のアプリケーションを連携させるプラットホーム機能を生かし、重要な基盤製品として発展・拡大を図っていく。

 米サイテジックは、1999年2月にモレキュラーシミュレーションズ(MSI、現在のアクセルリスの前身の1つ)出身の技術者によって設立された。国内では2001年に菱化システムと販売代理店契約を締結したが、2003年1月に米エルゼビアMDLがサイテジックとワールドワイドの独占販売契約を結んだため、国内での販売は同年4月から日本法人のエルゼビアMDLへと移っていた。

 パイプラインパイロットの最大の特徴は“データパイプライニング”と呼ばれるワークフロー機能で、複雑なデータ解析のプロセスを簡単にモデル化することが可能。箱型のコンポーネントのアイコンを画面上で結び合わせていくことにより、処理のフローを記述することができる。各コンポーネントは多様な機能を持っており、化合物データの読み込み/書き出し、データベースのマージ、物性計算や各種の統計処理、外部アプリケーションの起動などが行える。コンピューターケミストリー分野で有用なコンポーネントが初めからそろっており、コマンドラインベースで利用できるソフトならほとんどのものをパイプライン内に組み込むことが可能。

 今回、米アクセルリスは9月にサイテジックの買収を完了。そっくりサイテジック事業部として吸収したが、元サイテジックCEOのマット・ハーン氏が事業部のゼネラルマネジャーとして引き続き指揮をとる体制であり、基本的な独立性を維持していくことにしている。多数のベンダーのアプリケーションと連携できるオープン性は今後とも堅持され、エルゼビアMDLやトライポス、デイライト、ケンブリッジソフト、スポットファイアーなどの外部ベンダーとも引き続き協調体制をとっていくという。

 パイプラインパイロットの国内ユーザーは8社あり、アクセルリスとエルゼビアMDLの担当者が同行して各ユーザーを訪問しているところだが、反応はおおむね好意的だということだ。