2004年秋期CCS特集:NECソフト

パッケージ製品相次ぎ開発、共同研究の成果が結実

 2004.12.13−NECソフトは、今年に入ってライフサイエンスのパッケージ戦略を強力に推進。研究組織のVALWAYテクノロジーセンターを核に大学などとの共同研究や官公庁関係のプロジェクトに参画してきた経験と実績を、いよいよビジネスへと展開しはじめた。今後はパッケージを足がかりとして、顧客の要望をダイレクトに吸収し、コンサルティングからシステムインテグレーション(SI)まで、ITベンダーとしての総合力をいかんなく発揮させたい考えだ。

 同社は、今年4月に「BioCollabo」、5月に「BioWorkbench」、10月に「ProteoFinder」と、3本のパッケージを製品化した。

 なかでも、反響が高いのがProteoFinder。文科省知的クラスター創成事業「徳島プロテオミクスファクトリー」から生まれたソフトで、開発元は徳島大学発ベンチャーのバイオソリューション。谷口寿章教授(徳島大学分子酵素学研究センター)の研究をサポートするために開発されたもので、プロテオミクス研究者の現場のニーズを的確につかんでいることが特徴。

 質量分析データからのたん白質同定作業を支援する機能を中心に、サンプル管理やプロジェクト管理などのLIMS機能も備えており、ピークリストの偽陽性データをふるい落としたり、ピークリストに含まれるペプチドを一覧表示したり、サンプルの年令・性別・病歴などの情報を参照したりすることが可能。

 ProteoFinderの発売を機に、全国の科学機器や試薬などの販社との販売提携も進めているが、販社側もこのシステムには強い関心を示しているということだ。このため、来年度に向けての期待が大きくふくらんできている。

 一方、BioWorkbenchでもいくつかの案件が出てきている。バイオ研究におけるワークフローを自動化するプラットホーム製品で、Javaスクリプトを利用して複数のバッチジョブを順番に実行させることが可能。複数のバイオデータベースを一斉に検索してその結果を比較したり、ある検索結果を利用して別のデータベースを検索したりすることが簡単に行える。解析処理の自動化もでき、BLASTの結果をClustalWに渡し、次にHMMERを動かすなどの一連の手順を実行させられる。実際にはSIがらみの案件として進むケースが多く、並行して機能強化も続けているという。

 BioCollaboは、グリッドコンピューティング環境でバイオアプリケーションを効率良く実行させるためのシステム。 BLASTやClustalW、HMMERなどの基本的なツールをサポートしているほか、NECが並列化した「ホモロジーサーチャー」を利用することもできる。こちらもいくつかの話しが進んでおり、今後の普及が期待される。

 同社では、来年もさらに活発な事業展開を計画しており、新製品もいろいろと待機中だということだ。