インフォコムがNMRデータから代謝物を同定・定量化するシステム

加ケノミックスのNMRスイート発売、メタボローム研究を支援

 2006.02.14−インフォコムは、尿や血液に含まれる生体内代謝物を同定し、定量解析を行うことができるソフトウエア「Chenomx NMRスイート4.0」の国内販売権を取得した。試料を測定したNMRデータをもとに、そこに含まれている代謝物とその量を正確に読み取ることが可能。投薬の効果や影響を調べる臨床研究、および薬効と安全性の高い薬物開発を目指す創薬研究に利用できる。ソフト価格は教育機関向けの永久ライセンスで95万円から。企業向けの年間ライセンスは200万円から。

 今回の製品は、加Chenomx(ケノミックス)社が開発したもの。加アルバータ大学との共同研究によって実際にNMR解析を行い、230種の代謝化合物に関するスペクトルデータベース(DB)を蓄積しており、これと照らし合わせることで試料に含まれる化合物を同定する。

 血液や尿サンプルの測定は質量分析(MS)が使われることが多いが、同定や定量という観点から、最近ではNMRを利用するケースが増えてきているという。今回の「NMRスイート」を利用すると、メタボローム領域の代謝研究を一段と加速・前進させることができる。

 システムは、さまざまな形式のNMRデータを処理して読み込む「Chenomxプロセッサー」、スペクトルデータからの同定と定量化を行う「同プロファイラー」、DB管理ツールの「同ライブラリーマネジャー」、ユーザー独自のスペクトルDBを構築するための「同シグネチャービルダー」−の4つのツールから構成される。また、専用DBには、500MHz/600MHz/700MHz/800MHzでの測定データが用意されている。

 インフォコムでは、ウメトリクス社(スウェーデン)の多変量データ解析ソフト「SIMCA-P」との連携によるメタボロームソリューションとしても売り込んでいく考え。性差、年齢差、個人差、時間差などによる代謝メカニズムを定量的にとらえるため、時系列のデータをたくさん取得してSIMCA-Pで比較することにより、疾患のバイオマーカーを発見するなどさらに詳細なメタボローム解析を行うことができる。