CCS特集2006年春:アドバンスドテクノロジーインスティテュート

九工大との連携強化、抗がん剤効果予測で共同研究も

 2006.06.30−アドバンスドテクノロジーインスティテュート(ATI)は、九州工業大学の皿井明倫教授の研究グループとの関係を深めており、バイオインフォマティクス関連のデータベースや解析ツールを公開しているインターネットサイト「BioInfoBank」の構築・運営をバックアップしている。

 アジア地域のバイオインフォマティクス研究と教育を促進する目的で非営利組織「アジアバイオインフォマティクスリサーチ&エデュケーションネットワーク」(ABREN)も共同で立ち上げており、今年の5月からeラーニング方式による「バーチャルバイオインフォマティクスワークショップ」を開催中。初歩から最先端の話題まで40種類近い講義をムービーで聴講することができる。当初は5月いっぱいで終了の予定だったが、好評につき7月8日まで延長されている。

 一方、共同研究の事業成果としては、聖マリアンナ医科大学との「抗がん剤効果および生命予後予測システムの研究開発」が前進している。これは、患者から摘出したがん組織を分析し、その患者に最も適していて副作用も少ない抗がん剤を選択できるようにしようという狙いから研究されているもの。

 聖マリアンナ医大の外科学教室のグループらが開発した特殊ポリマーを三次元初代がん細胞培養基材として使用。生体内に似た環境を再現することで、個人別の抗がん剤感受性試験を実施することを可能にした。それぞれの患者に対する薬剤の効果や生命予後を高い確率で予測するシステムの完成を目指していく。

 この研究の過程で遺伝子発現データも集められており、九工大のゲノムデータベースとの連携解析も進めていくことにしている。