CCS特集2006年春:日本総合研究所

解析事例DBを提供、教育・講習サービスに力

 2006.06.30−日本総合研究所は、高分子のナノスケールのシミュレーションを可能にする「J-OCTA」を開発。3年間の助走期間を経て、昨年4月に製品版を出荷開始して2年目になるが、すでに累計導入実績は30社に達している。この間に多くの受託解析業務も手がけてきており、その成果を踏まえた事例データベース(DB)を年度内に提供する計画。解析モデルや手順、条件などがすべて収められており、システムの実用性を評価するうえでも注目を集めそうだ。

 J-OCTAは、複数の解析エンジンを組み合わせる手順をシナリオ化したり、一連の計算事例そのものを共有化できるように事例DB化したりする機能を備えている。現在取りまとめ中の事例DBの中には、高分子材料の強度・耐衝撃性などの力学特性予測、複屈折性などの光学特性予測、ガラス転移点・フィラーの影響など耐熱性の予測、ガス透過性など低分子の拡散挙動予測−などの実例が収録される。

 ただ、J-OCTAの解析エンジン群は理論・手法的にかなり先端的な存在であるため、一般ユーザーが簡単に使いこなせないのも事実。そこで、同社では受託解析サービスに教育・講習を組み込んだ「スターターパック」の提供をはじめた。通常は同社が請け負う解析作業をユーザー側で行ってもらい、解析終了までの過程で必要なサポートを随時提供していくというもの。これにより、基本的な操作法や新しい問題に対する応用力を身につけてもらう。

 また、セミナーや講習会も今年は昨年の5割増しでの開催を計画。東京では毎月、大阪・名古屋でもひと月おきに開く。

 来年以降は、実験や計測と連携させ、シミュレーションと現実物性との相関を検証する段階へと進みたいという。