CTCLSが製薬業向け情報共有基盤ソフトを本格発売

機密性の高いファイルを安全にやり取り、メールリンク機能を実現

 2006.04.27−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、米ザイトスソフトウエアが開発したセキュアな情報共有基盤ソフト「Xythosエンタープライズドキュメントマネジャー」の販売権を取得し、製薬会社などの医薬品研究開発機関向けに本格的な販売活動を開始した。新薬開発などのプロジェクト単位で、外部研究委託先や医療機関との間でのアクセス制限をかけたファイルのやり取りを簡単に行うことができる。ライセンス価格は250ユーザーで562万5,000円。初年度1億円の売り上げを見込んでいる。

 開発元のザイトス社は1999年にオラクルから独立したチームによって設立されたベンダーで、今回の製品は欧米で400社以上の企業への採用実績がある。国内では2004年4月からアシストマイクロが総代理店として活動しているが、CTCLSはこれと2次契約を結ぶかたちで製薬業向けを担当することになった。

 Xythosエンタープライズドキュメントマネジャーは、グループウエアの機能を包含した一種のファイルサーバーシステムで、インターネットの文書管理プロトコルである“WebDAV”に完全準拠している。インターネット環境を利用していつでもどこからでもアクセスすることが可能。しかも、SSL暗号化通信とパスワード認証による強固なセキュリティを実現しており、新薬開発などの機密性の高いプロジェクトにおいても安全に情報共有を図ることができる。実際、米軍関係でイラク戦争の時に採用されたほどだという。

 アクティブディレクトリーなどのLDAP技術との連携が可能で、ユーザーIDに応じたファイルのアクセス権限を簡単に設定・運用することができる。とくに、大きな特徴となっているのがメールリンク/メールチケット機能。これは、eメールにファイルを添付するのではなく、ファイルの所在をURLのリンクのかたちで通知する機能で、メールリンクはXythosユーザー同士で、メールチケットはXythosのIDを持たない一般ユーザーに対して情報を受け渡しする際に利用される。

 メールチケットの場合は、そのファイルを閲覧するだけか、書き込みも許可するか、あるいは有効期限を分単位から年単位までで自由に設定することができる。

 Xythosサーバー内のファイルは、全社共有レベル、プロジェクト単位、個人用など階層的に管理でき、各ファイルに対してバージョン管理や操作履歴管理が行える。設定や操作が簡略化されていてだれにでも扱いやすいことが特徴となっている。

 ウェブベースであるため、インターネットに接続できればクライアント側には特別なソフトは必要ないが、オプションで専用クライアントの「Xythosドライブ」(250ユーザーで180万円)を利用することもできる。このソフトをインストールすると、ウィンドウズのエクスプローラーの機能が拡張され、Xythosサーバーがネットワークドライブとして割り当てられるため、エンドユーザーは使い慣れた操作法でファイルを簡単に扱うことができるようになる。また、一太郎やテキストファイルなどのWebDAV非対応アプリケーションでも、エクスプローラー上から直接開いて、編集・保存が可能。

 動作環境は、Windows、Linux、UNIX、MacOSXを含めてさまざまな環境に対応しており、ウェブサーバーやデータベースも種類を選ばない。そして、システム構成としては、外部からのアクセスを受け入れる場合には、外部/内部のネットワーク環境から隔離されたDMZ(非武装地帯)に外部公開サーバーを設置し、ファイルサーバー本体へのアクセスを中継させるスタイルをとる。これにより、外部から内部ネットワークへの不正アクセスを防止することができるようになっている。

 CTCLSでは、新薬開発にともなう機密情報の共有・管理、外部の共同研究機関との情報共有、出先からのMR(医薬情報担当者)による技術情報へのアクセスなど、利用シーンに合わせたシステム提案を行うほか、さらに強固なセキュリティを組み込みたいという要望にも積極的に応じていく。