日本総合研究所がJ-OCTA普及へ新戦略

受託解析と教育サービスを統合、操作法・応用力を修得

 2006.06.22−日本総合研究所は、高分子材料開発支援システム「J-OCTA」の普及を加速させるための新戦略として、受託解析と教育・講習サービスを組み合わせた「スターターパック」の提供を開始した。 J-OCTAは文部科学省プロジェクト成果を商用化した先端システムで、一般ユーザーが使いこなすには敷居が高いという問題があった。今回のパックを利用すると、約3ヵ月間のサービス期間を通して基本的な使い方と応用力が身につく。料金は解析テーマによって異なるが約50万円。

 同社では、J-OCTAをソフトパッケージとして販売することに加えて、受託解析サービスにも取り組んできた。ユーザーから示された具体的なテーマに対して、実際にモデリングやシミュレーションを実施し、予測した物性値を実験データと比較することで、材料設計に関する新しい知見を引き出そうとするもの。

 ただ、こうした本格的な解析依頼ばかりではなく、導入を検討するうえでのテストとしてベンチマーク的に解析を頼まれるケースも多かった。ところが、実際にシステムを導入したユーザーの中に、ベンチマーク結果を再現できないなど使い方で壁にぶつかる例が散見されたため、教育や講習の重要性をあらためて意識したことが今回の新サービスにつながったということだ。

 具体的には、通常は同社が請け負うベンチマーク解析作業を、同社の指導のもとでユーザー自身に実行してもらうというもの。基本テーマを高分子材料の相分離解析・強度解析・ガス透過解析とし、J-OCTAの3ヵ月間のフル機能ライセンスを付与。解析を実行する過程で必要なサポートを随時提供する。ユーザーは自分で解析を行う中で、基本的な操作法や新しい問題に対する応用力を身につけていく。

 今回のサービスを通して、J-OCTAの利用者の裾野が広がることが期待される。

通常の受託解析サービスとの比較

資料:日本総合研究所

  一般受託解析 ベンチマーク スターターパック
解析対象 任意 任意 基本メニューからの選択
解析精度 ある物性値の計算結果と実データ等を比較検討する 仮想の材料での計算であるため、精度への言及はできない 仮想の材料での計算であるため、精度への言及はできない
解析期間 解析内容による 解析内容による 3ヵ月
解析費用 解析内容による 解析内容による 50万円
メリット ソフトを導入しなくても、諸問題の解析結果とその考察を得られる ソフトの導入前に、想定される諸問題への適用可能性の検討ができる ベンチマークに加え、解析終了時に、J-OCTA操作学習が終了する