リアクション・デザインが詳細化学反応解析ソフトCHEMKINの最新版4.1

粒子追跡モジュールを新開発、環境・ナノ材料分野に的

 2006.04.04−リアクション・デザイン・ジャパン(本社・東京都文京区、三森輝夫代表取締役)は、詳細化学反応解析ソフト「CHEMKIN」の最新バージョン4.1を販売開始した。基本機能を一段と高度化させたことに加え、燃焼による粒子の生成や成長・凝集などの特異な現象を精密に解析できる新しいオプションモジュールを提供する。ナノ材料開発や環境関連分野での応用展開が注目され、価格はフルパッケージの年間ライセンスで約200万円。

 CHEMKINは、実験室レベルから工業規模の反応器設計まで、化学反応の影響が大きい系においての反応流や化学種の挙動をシミュレーションするシステムで、化学物質の物性データベースを用いて素反応ベースでの詳細な化学反応解析を行えることが特徴。

 今回の最新版では、気相および固体表面における化学反応をさらに精密に取り扱うため、新しい表面反応ユニットや熱力学データ、気相反応速度オプションなどが追加されている。

 とくに、最大の特徴は新たなモジュールが用意されたこと。なかでも別売りオプションになっているのが「粒子追跡モジュール」で、自動車やタービン、ボイラーなどの分野で環境に適合した効率の良い燃焼系を開発するために有効なツールとなる。各種燃料が燃焼・熱分解し、ハイドロカーボンが生成され、粒子核が発生して表面成長が起こり、粒子同士が凝集、さらには酸化して消失するといった一連のプロセスを詳細化学反応論をベースに精密にシミュレーションすることが可能。

 解析機能としては、気相における粒子核の生成反応、および凝縮や堆積、酸化その他の表面反応によって生じる粒子の成長や収縮による粒子径の変化を追跡する機能を備えている。新燃料や燃料混合物の幅広い取り扱いが可能で、粒子素反応についての新しい科学的知見を取り込める拡張性も持っている。Windows上でのわかりやすいグラフィック環境を有していることも特徴である。

 完全混合反応器(PSR)−プラグ流反応器(PFR)ネットワークにおけるエチレン/空気燃焼におけるすすの生成を解析するためのサンプルデータがチュートリアルとして付属。環境規制をにらんだすすの抑制や、先端材料としてのナノ粒子のサイズ制御、カーボンブラック製造でのプロセス最適化などの分野で利用することができる。

 一方、もう一つの新モジュールは「不確実性モジュール」と呼ばれ、ポリノミアル・カオス・エクスパンション(PCE)法を用いた効率的な感度解析を行うことが可能。乱数を用いたシミュレーションを繰り返すことで近似解を求めるモンテカルロ法に比べ、数オーダー短い時間で同等の精度の計算結果を得ることができるという。

 さらに、新しい「パラメーター検討モジュール」は、パラメーターを小刻みに変更しながら計算を繰り返すタイプのシミュレーションに絶大な効果を発揮する。計算を実行する際、入力するパラメーターの最大値と最小値を設定し、刻み幅あるいは計算回数を指定することで、それぞれのパラメーターにおける計算を自動実行し、その結果を集計してくれる。このモジュールは、CHEMKIN4.1本体のライセンスに含まれて提供される。

 なお、同社では、代理店の菱化システムと共同で今回の新バージョン無料紹介セミナーを開催する。日時は12日の午後1時半から。詳細は、https://secure.rsi.co.jp/kagaku/cs/seminar/rsi91.html まで。