米インテルのジョン・ジョンソンCIOが会見

IT能力で競争優位性を強化、ベンチマークがIT評価のカギ

 2006.10.24−米インテルのCIO(最高情報責任者)を務めるジョン・ジョンソン副社長が来日し、23日に記者会見した。インテル社内における情報システム部門の役割や位置づけ、CIOの任務などについて説明した。国内では、CIOがなかなか根付かないことに加え、日本版SOX法対応など、IT(情報技術)投資が肥大化するなかで、投資対効果を厳しく評価しようという考え方が高まりつつある。ジョンソンCIOは、会見において「ベンチマークがカギだ」と強調した。

 インテルのIT部門のスタッフは世界27ヵ国に約7,800人で、139のデータセンターを持ち、世界12万人のインテル社員に対してサポートを提供している。社内のパソコンの数は、ノート型が7万7,380台、デスクトップが1万4,390台で、米企業としては非常にノート型の比率が高い。一方、サーバー台数は6万6,300台、ネットワークノードは21万、データ総量は3.2ペタバイト(ビジネス用途のみ。エンジニアリング用途のデータを入れると7−8ペタバイトに達する)、ノートPCが多いため4,685の無線アクセスポイントを設置している。

 ジョンソンCIOは、ITは企業の事業目的との整合性を取る必要があるとともに、新技術を積極的に導入して、競合他社に対するIT面での優位性を常に保つ必要があると述べた。国内でも最近注目されている“ITガバナンス”については、「IT能力が企業内でいかに統治されているか、その統治モデルをきちんと理解し、しっかりと実行することが肝要。とくに、ガバナンスの上では意思決定プロセスと説明責任がポイントになる」という。

 「とりわけ、CIOの任務としては、他の企業や組織と比べて、自社のIT能力やコストがどうなっているかを正しく評価することが重要。そのためにはベンチマークがカギ。その指標はさまざまに考えられるが、自社のITの強さと弱さをよく理解するべきだ」として、自身が考案したというマトリックス評価モデルを披露した。

 例えば、横軸に「コスト分析」、縦軸に「競争力分析」をとり、IT技術分野ごとに自社の実力がどこに位置するかを2×2の領域内にプロットしていく(写真参照)。「実際に、顧客要求管理のアプリケーションがコスト・競争力の両面で低位置にあることがひと目でわかり、IT投資の優先順位を変更して直ちに改善を図ることができた例がある」とジョンソンCIO。

 ノート型の割合が高いのも、「無線LANを中心とした機動性で社員の生産性を高め、競合に対する優位性を確保するため」と説明している。

 そのほか、ベンチマークを考慮するうえでは、業界全体を視野に入れて技術をみるべきことや、社外の専門組織による評価を得ること、社内ユーザー部門からのフィードバックを考慮することなども重要になるという。