マイクロソフトが企業向けセキュリティソフトに本格参入

まずはサーバー向けに2製品、来年半ばにはクライアント向けも投入

 2006.11.27−マイクロソフトは24日、企業向けのセキュリティソフトウエアに本格的に参入し、新ブランド「Microsoft Forefront」(マイクロソフトフォアフロント)を立ち上げ、アプリケーションサーバーを保護する「フォアフロントセキュリティ・フォア・エクスチェンジサーバー」と「フォアフロントセキュリティ・フォア・シェアポイント」の2製品を12月1日から提供開始すると発表した。アクティブディレクトリーなどの管理製品群と連動することで、一貫したセキュリティライフサイクルをサポートできることが特徴。来年半ばにはクライアント向けのセキュリティソフトも提供する予定であり、「エッジ、サーバー、クライアントの3点におけるソリューションが完成する」としている。

 同社の説明によると、ネットワークのエッジ部分のセキュリティ対策は「インターネットセキュリティ&アクセラレーションサーバー」(ISAサーバー)で対処済みであり、今回はさらにその対象をサーバーアプリケーション分野に広げたことになる。

 具体的には、エクスチェンジやシェアポイントを、ウイルスやワーム、スパム、不適切なコンテンツなどのマルウエアから保護することが可能。とくに、複数のウイルス対策エンジンを搭載しており、マイクロソフト独自のエンジンに加え、CAやソフォス、ウイルスバスター、さらにはロシアや韓国のベンダーが開発したエンジンなど9種類をすべて使用することができる。各エンジンの得意領域で補い合うことができるほか、定義ファイルの更新中のスキもなくなり、ノンストップでの保護が可能になる。

 大手ユーザーにおいては、1社のベンダーにセキュリティを依存するリスクを避けるため、複数のベンダーの技術を採用する場合が多いというが、その場合はライセンス料が高くつくほか管理面でもコスト増になってしまう。フォアフロントはマイクロソフト製品のボリュームライセンス契約に組み込まれているので、コストメリットも大きくなるとしている。

 実際の契約形態はサブスクリプション型で、3年契約を基本とし、一括もしくは年ごとにライセンス料を支払う。最少5ユーザーから契約でき、価格はエクスチェンジ用が月額1ユーザーで200円、シェアポイント用は同様に100円となっている。この費用で9種類のエンジンすべてが使える。

 アイデンティティ管理を行うアクティブディレクトリーや、システム管理製品のシステムセンターと連携できるため、セキュリティ対策の実施や監視、インシデントの管理が、ID単位・マシン単位で簡単に行える。その状況をセキュリティポリシーに反映させ、さらに対策を実施することにより、一貫した形でのセキュリティライフサイクルを回すことができるようになるという。

 同社では、来年にはオフィスコミュニケーションサーバーも対象にする予定。また、クライアントソリューションも「フォアフロント・クライアントセキュリティ」の名称で投入する。こちらは12月13日から日本語ベータ版を配布することが決まっている。セキュリティポリシーをクライアント向けに展開することが容易になり、わかりやすい管理者向けのレポートツールなども用意される。

 マイクロソフトが本格的にセキュリティ市場に進出したことで、既存セキュリティベンダー各社がどのように新しい戦略を打ち出すか、来年に向けてその動向が注目される。