トライポスの受託研究事業の売却先がプロヴィッド社に決定

英国拠点含めて事業引き継ぎ、CCSソフトに続いて全事業を清算

 2007.01.06−事業売却を進めている米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダー、トライポス社の受託研究部門の売却先が決まった。ニュージャージー州のプロヴィッド・ファーマシューティカルが相手で、金額は約200万ドル。3月末までに手続きが完了する。同社はすでにCCSソフト事業を2,560万ドルでベクターキャピタルに売却することを決めているため、これで実質的に会社全体を売り渡したことになる。個々の事業そのものは、それぞれ新しい体制で継続される。

 トライポスは、CCS製品群を開発・販売するディスカバリーインフォマティクス(DI)事業と、独自のCCS技術などを応用しつつ実際の創薬に向けた受託研究を行うディスカバリーリサーチ(DR)事業を2本柱としていた。

 今回、DI事業に続いて、DR事業も売却先が決まった。どちらも、手続きは3月末で完了する予定だ。4月以降は、それぞれ非上場会社としての新体制で事業が継続され、あらためて成長を目指していくことになる。

 DR事業の母体となったのは、1997年11月に買収・合併した英国のファインケミカル企業であるレセプターリサーチ社。プロヴィッドへの売却後もイングランドのビュードに存在する拠点はそのまま残り、現地のマネジメントやスタッフも新体制へと引き継がれるという。

 トライポスのDR事業は、ファイザーから4年間で9,000万ドルのプロジェクトを受注するなど一時は成功したが、このプロジェクトが終了した昨年は極端な営業不振となり、今回の経営破たんを招いたとされる。

 DI事業がほぼ年間売り上げに等しい額で売れたのに対して、今回のプロヴィッドとの取引額200万ドルはかなり安い。ただ、2006年1−9月期の売り上げが、前年同期80%減の434万7,000ドルに大幅ダウンしたことや、同じく911万6,000ドルの赤字を抱えたことからすると、妥当なところなのかもしれない。それでも、英国の拠点やプラント、実験設備、160人といわれるスタッフを入手できたことは、プロヴィッドにとっては有利な条件だったといえそう。

 なお、トライポスのDR事業は日本ではほとんど実績がなかったため、この点では国内には大きな影響はない。しかし、DI事業の方のユーザーが多いことからも、4月へ向けて新体制への移行がスムーズに進むことが望まれる。